学資保険の死亡保障はいくら?終身保険との違いや死亡保険の平均金額も紹介
子どもの教育資金の貯蓄で知られる学資保険ですが、一般の生命保険と同様に死亡保障があります。
しかし、保障内容は「契約者(親など)」や「被保険者(子ども)」によって異なるため、「契約者に万が一のことがあった場合、教育資金と生活費が残せるのだろうか」「子どもにもしものことがあったときの保証はどうなっているのだろう」と不安を抱く方もいます。
そこで本記事では、学資保険の死亡保障はいくらなのか、学資保険や終身保険の平均額はどのくらいなのかを具体的にご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
学資保険の死亡保障はいくらくらいなのか
学資保険は「子どもの教育資金」の確保を目的とした保険ですが、学資保険の死亡保障はいくらくらいになるのでしょうか。
学資保険は一般の生命保険とは異なり、契約者(親など)が亡くなった場合は、以降の保険料が免除され、被保険者(子ども)が亡くなった場合は死亡保険金が支払われます。
被保険者である子どもに対して、死亡保障を付帯した学資保険には「子ども1人あたり1,000万円まで」の上限額が設けられています。
また、子どもの年齢が15歳未満の場合はさらに少ない「700万円まで」とされ、どちらも金融庁で定められているものです。
この上限額は学資保険だけでなく、子どもが「被保険者」として加入するすべての保険の合計金額に適用されます。
なお、上限額のある学資保険は「死亡保障」を付帯した場合であり、それ以外は原則として上限などはありません。
参考記事:未成年・成年者の死亡保険について|金融庁
被保険者が亡くなった場合
学資保険の被保険者である子どもが、保険期間中に亡くなった場合は、すでに支払った保険料相当額が「死亡給付金」として給付されます。
死亡給付金は契約者である親などに支払われ、給付額は支払った保険料相当額から決まるため、死亡時期によって異なります。
また、すでに受け取っている祝い金などがある場合は、保険料相当額から差し引かれて給付されますが、被保険者の故意による死亡等では、給付金は原則支払われません。
なお、学資保険は「子どもの教育資金」を貯蓄するための保険ですので、被保険者が亡くなった後は、死亡給付金が支払われて契約は終了となります。
契約者が亡くなった場合
一方で、契約者である親などが保険期間中に亡くなった場合は、以降の保険料の払い込みが免除され、祝い金や満期保険金などは予定通り受け取ることができます。
ただし、上記の保障機能は「死亡保障」を付帯した学資保険が対象であり、「保険料払込免除」などがないプランや、特約として付加していない場合などは対象外です。
また、契約者が亡くなった後の保険料の支払いを免除するには、保険会社への手続きが必要になります。
なお、契約者が亡くなった場合であっても、保険料の払込期間が満了を迎えるまでは、祝い金・満期保険金などは受け取ることができませんので注意しましょう。
学資保険と終身保険の違いとは
子どもの教育資金を「学資保険」ではなく、「終身保険」で準備するという方が増えています。
学資保険と終身保険は同じ貯蓄型の保険ですが、そもそも保険の目的が異なるため、保険金を受け取るタイミングや契約者に万が一のことがあった場合などの保障にも違いがあります。
学資保険とは、契約者である親などの万が一に備えながら、子どもの成長に合わせて祝い金や満期保険金を受け取れる「教育資金の準備」を目的とした保険です。
また、契約者が死亡または高度障害状態になった場合、以降の保険料の支払いが免除され、契約時に定めた時期を迎えると、約束されたお金が受け取れます。
一方、「残された家族を支えること」を目的とする終身保険は、契約者が死亡または高度障害状態になった場合、高額な死亡保険金をすぐに受け取ることができます。
死亡保険金は家族の生活費はもちろん、子どもの教育費に充てることも可能です。
終身保険は学資保険の代わりになるのか
「終身保険は学資保険の代わりになるのだろうか」と疑問を抱くかもしれませんが、実は学資保険の代わりに「低解約返戻金型終身保険」を選ぶ方も多くいます。
「低解約返戻金型終身保険」が選ばれる理由は、払込期間や解約返戻金を受け取るタイミングを自分の都合で決められる「自由度の高さ」です。
学資保険のように子どもの年齢制限などもなく、いつでも将来に備えて積み立てが始められて、お金が必要なタイミングで解約できます。
保険料の払込期間を終えた後の解約返戻率が高い時期に解約することで、受け取った解約返戻金を教育資金に充てることができます。
低解約返戻金型終身保険と学資保険を比較したいという方は、下記の記事もお役立てください。
関連記事:学資保険とは?メリット・デメリットや選ぶ際の4つのポイントも紹介!
学資保険が向いている家庭
子どもの教育資金のような高額貯蓄をする場合には、ある程度の時間がかかるため、自分や家庭に無理のない方法を選ぶことが大切です。
教育資金を貯める際に、下記の3つを重視する場合は学資保険が向いている家庭といえます。
- 教育資金と死亡保障は分けて考えたい
- 契約時に決めたタイミングでお金を受け取りたい
- お金を増やすよりも確実に受け取ることを重視したい
学資保険は積み立てたお金を自由に引き出すことができないため、使い過ぎてしまう心配もなく、満期時にはほぼ確実にお金を受け取ることができます。
しかし、あくまでも教育資金の確保を目的とした保険であるため、契約者に万が一のことがあった場合でも満期を迎えるまではお金を受け取ることができません。
終身保険が向いている家庭
一方で、下記に当てはまる場合は終身保険が向いている家庭といえます。
- 受け取る時期やタイミングを自分で決めたい
- 少しでも受け取るお金を増やしたい
- 保険と貯蓄の両方を同じバランスで考えたい
終身保険は、払込期間が終了すると返戻率が100%を超える商品がほとんどです。
子どもが大学へ進学しなかった場合や、教育資金に余裕ができた場合は、保険を解約せずに継続することで、解約返戻金をさらに増やすことができます。
長期的な資産運用をすることで、将来必要になる老後資金や子どもの結婚資金などに活用することも可能です。
長期的な資産運用や保険契約を据え置く可能性がある場合には、終身保険をおすすめします。
世帯主の死亡保険の平均金額はいくら?
世帯主に万が一のことがあった場合に支払われる死亡保険金は、加入目的や家族構成などの「必要保障額」に応じて決めるのが基本です。
では、一般的な世帯主の死亡保険の平均額はいくらなのでしょうか。
公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、世帯主の普通死亡保険金額の平均は、民保・簡保・JA・県民共済・生協等を含む全ての生命保険で1,386万円です。
また、家族構成別の死亡保険金額の平均を見てみると、子どもがいる場合は末子の年齢に応じて死亡保険金額が変動し、小中学生の世帯が最も高く、2,093万円ということがわかりました。
なお、世帯主の年齢別の保険金額の平均では、40代後半でピークの2,837万円まで増加し、50代以降は徐々に減少しています。
参考記事:令和3年度生命保険に関する全国実態調査|生命保険文化センター
学資保険の満期金の平均はいくら?
学資保険の場合、満期金の平均がいくらなのかわかる正確なデータなどはありません。
しかし、多くの加入者が大学進学時の18歳を満期とし、私立大学の1年目にかかる費用に合わせて、200万円前後の満期保険金を受け取れるようにしています。
学資保険はあくまでも「教育資金の確保」を目的としているため、契約者である親に万が一のことがあった際は、その後の教育費は確実に確保できるものの、残された家族の生活費などは別で準備する必要があります。
学資保険の払込期間や満期保険金の決め方について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:学資保険は18歳満期でいくら?平均金額や満期日・設定すべき額も解説
教育資金と親の死亡保障のどちらも備えたい場合
子どもの教育費と親の死亡保障のどちらにも備えたい場合には、学資保険と生命保険の組み合わせがおすすめです。
学資保険では、契約者である親などに万が一のことがあった場合、以降の保険料の支払いが免除されますが、お金を受け取るには満期を待たなければいけません。
これに対し、低解約返戻型終身保険では死亡保険金をすぐに受け取れるため、残された家族の生活費はもちろん、子どもの教育資金を補うことも可能です。
教育資金は学資保険で確実に積み立て、低解約返戻金型終身保険を活かして親の死亡保障と長期的な資産運用をおこなうという方法で、貯蓄と死亡保障の両方をカバーすることができます。
なお、終身保険に加入する場合は学資保険の「死亡保障なし」のプランを検討するなど、保険内容の重複や保険料が高くなりすぎないように注意が必要です。
学資保険の医療特約はおすすめ?
子どもの万が一に備えて、学資保険の医療特約を付帯するかどうか悩む方も多いと思います。
結論からいいますと、学資保険の医療特約はいらない場合が多いです。
主契約の学資保険に掛け捨ての医療保険がセットでついてくる商品などをおすすめしている保険会社は多くあり、実際に活用されている方もいるでしょう。
1つの契約で「教育資金の貯蓄」と「子どもの医療保障」の保障ができるメリットがある反面、下記のようなデメリットも挙げられます。
- 医療保険としては保障内容が不十分
- 学資保険の返戻率が下がる
- 自治体の公的医療助成で補えるケースが多い
- 保険の見直しがしにくい
医療特約をつけることで返戻率が下がり、受け取る満期金の金額も減ってしまうケースもあります。
学資保険を「教育資金の積み立て」として考えるのか、「子どもの医療保険」として考えるのかによって適切な商品を選ぶ必要があります。
実際にどれくらいの方が医療特約を利用されているのかなど、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。
関連記事:学資保険の医療特約はいらない?子どもが医療保険に入っている割合やおすすめの対策も解説
まとめ
教育資金を貯蓄する方法として、学資保険の代わりに終身保険を活用する方も増えています。
学資保険と終身保険は「保険の目的」が異なるため、保険金を受け取るタイミングや契約者に万が一のことがあった場合などの保障などを比較し、自分に合った保険を選ぶことが重要です。
また、子どもの教育費と親の死亡保障のどちらにも備えたい場合は、学資保険と終身保険の併用も検討してみてください。