教育資金の一括贈与の改正点は?非課税制度の内容や手続き方法・注意点もわかりやすく解説!

教育資金の一括贈与の改正点のイメージ画像

子どもや孫の進学に向けて「今のうちに何かしておきたい」と考えるご家庭も多いのではないでしょうか。

なかでも、まとまった資金を早めに渡したいと考える方から注目を集めているのが、「教育資金の一括贈与」に関する非課税制度です。

ただ近年は制度の改正もあり、「使い残した場合はどうなるの?」「何が教育資金にあたるの?」といった不安の声も少なくありません。

この記事では、教育資金の一括贈与制度の基本内容から、改正点、具体的な手続き方法、活用時のメリットや注意点までを整理してご紹介します。

保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する
保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する

       

この記事の監修者

都内某企業の人事部で給与・社会保険関係・採用・教育などの業務に携わる中で、税や社会保障など、広い範囲でマネーの知識は不可欠だと感じ、2010年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。
国内生命保険会社での保険営業を経て、独立系FPとして、子供の金銭教育普及活動やファミリー層中心のライフプランセミナーなどで講師を務める2児の母。同じ子育て世代の方が気軽に相談できるFPをモットーに活動中。

目次

教育資金の一括贈与の非課税制度とは

教育資金の一括贈与の非課税制度は、教育費に特化してまとまった資金を贈与する際に、贈与税を大きく軽減できる特別な仕組みです。

この制度は平成25年に創設されました。

非課税対象となるのは、学校の入学金や授業料に加え、塾や習い事、留学費用、通学交通費など、幅広い教育関連費用です。

通常、贈与は年間110万円を超えると贈与税が発生しますが、この制度を利用すれば、最大1,500万円まで非課税で贈与が可能となります。

ただし、専用口座を開設し、支出ごとに領収書などで使途を証明する手続きを取らなければなりません。

本制度を正しく利用することで、将来の教育資金を効率的に準備できる大きなメリットがあります。

教育資金の一括贈与の対象者は?

教育資金の一括贈与の非課税制度は、30歳未満の子どもや孫など直系の親族に対して、祖父母や両親が教育資金を贈与する場合に利用できる仕組みです。

贈与者(お金を贈る側)

  • 受贈者の直系尊属(父母、祖父母など)であること
  • 贈与時に60歳以上であること

受贈者(お金を受け取る側)

  • 贈与を受ける時点で30歳未満であること
  • 日本国内に住所を有すること

この制度では、親から子への贈与だけでなく、祖父母から孫への贈与も対象となります。

ただし、叔父・叔母から甥・姪への贈与など、直系尊属以外からの贈与は対象外となりますので注意が必要です。

また、受贈者が30歳に達した時点で契約は終了し、未使用の残額は贈与税の課税対象となります。

教育資金の一括贈与の改正点は?

教育資金の一括贈与の非課税制度は、これまでに複数回の改正がおこなわれています。

主な変更点は以下のとおりです。

  • 適用期限の延長
  • 相続税の課税対象の見直し
  • 贈与税の税率の見直し
  • 対象となる教育資金の範囲の変更

特に、適用期限が延長されたことにより利用できるタイミングが変わりました。

また、贈与者が死亡した際の課税ルールも修正されています。

これらの変更点について、次の章でひとつずつ詳しく解説していきます。

適用期限の延長

教育資金の一括贈与の非課税制度は、もともと令和6年(2024年)3月31日までの時限措置として設けられていました。

しかし、令和8年(2026年)3月31日まで延長されることが、令和6年度の税制改正によって正式に決定されています。

これにより、今後も制度を活用して教育資金を計画的に準備することが可能となりました。

なお、延長とあわせて、贈与者が亡くなった場合の相続税の取り扱いにも変更が加えられています。

参考:財務省「令和6年度税制改正の大綱の概要」

相続税の課税対象の見直し

教育資金の一括贈与の非課税制度では、以前は贈与者が死亡した場合でも、原則として非課税扱いが維持されていました。

しかし令和5年度(2023年)の改正により、贈与者が死亡した時点で使い残した資金については、一定の条件下で相続財産に含まれることとなりました。

特に、教育費として具体的な使途が確定していない場合には、相続税の課税対象となります。

制度を利用する際は、使いきれなかった場合の取り扱いまでしっかり確認しておくことが重要です。

参考:国税庁「令和5年度改正関係(抜粋)」

贈与税の税率の見直し

教育資金の一括贈与に関連する令和5年度(2023年)の改正では、一般贈与財産と特例贈与財産の区分が見直され、贈与税の税率体系にも変更が加えられました。

これまでは、直系尊属(父母・祖父母など)からの贈与に対して特例税率が適用され、一般贈与よりも低い税率で計算されていたのが特徴です。

改正後は区分が統一され、すべてが一律の税率体系に一本化されることになりました。

これにより、特例税率の恩恵を受けられる機会が減るため、贈与時の税負担に十分注意して計画を立てることが必要です。

参考:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

対象となる教育資金の範囲の変更

教育資金の一括贈与の非課税制度では、令和3年の税制改正により、非課税対象となる教育資金の範囲が変更されました。

これまでは、ピアノや英会話などの習い事費用や、短期留学にかかる授業料・渡航費用なども広く非課税対象でした。

改正後は実際に教育のために支出された費用のみが対象とされています。

特に、進学と直接関係のない講座や趣味に近い活動費用は、非課税対象外となる可能性があるため注意が欠かせません。

参考:財務省「令和3年度 税制改正大綱」

教育資金の一括贈与の手続き方法

教育資金の一括贈与の手続き方法をイメージした画像

教育資金の一括贈与の非課税特例を利用するには、いくつかの手続きステップを順に踏んでいく必要があります。

大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 金融機関の選定
    制度に対応している銀行や信託銀行、証券会社から、手数料やサービス内容を比較して選ぶ。
  2. 必要書類の準備
    贈与者・受贈者の本人確認書類、受贈者の戸籍謄本、印鑑などを揃える。
  3. 専用口座の開設と契約締結
    金融機関で教育資金管理契約を結び、受贈者名義の専用口座を開設し、「教育資金非課税申告書」を提出。
  4. 資金の入金と税務署への届出
    贈与者が専用口座に資金を入金し、金融機関が税務署に届出をおこなう。
  5. 教育資金支払い時の領収書提出
    教育資金を支払った際の領収書などを金融機関へ提出し、使途を証明する。

このように、手続きには複数のステップと書類管理が求められます。

教育資金の一括贈与の手続きは面倒?

教育資金の一括贈与を利用するためには、通常の贈与に比べてやや複雑な手続きが必要です。

例えば、戸籍謄本などの必要書類の用意や、金融機関での契約手続きに加え、支払いごとに領収書を保管し、定期的に提出しなければなりません。

こうした手続きを怠ると、制度の適用が外れる可能性もあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。

とはいえ、最近では多くの金融機関が専用のWebサイトや窓口サポートを充実させており、初めての方でも安心して手続きを進められる体制が整っています。

非課税枠として最大1,500万円が利用できることを考えれば、多少の手間をかけても十分に活用する価値がある制度といえるのではないでしょうか。

保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する
保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する

教育資金の一括贈与のメリットは?

教育資金の一括贈与は、贈与税の負担を抑えながら、子どもや孫の将来に備えた資金を早めに準備できる制度です。

資金の使い道も教育関連に限定されるため、目的に沿った支援を計画的に進めることができます。

一括でまとまった金額を非課税で渡せるため、必要な時期に合わせて柔軟に教育費を活用できる点も特徴です。

ここから、教育資金の一括贈与を活用することで得られる主なメリットについて、具体的に整理していきます。

まとまった資金を非課税で贈与できる

教育資金の一括贈与の最大のメリットは、最大1,500万円までの贈与が非課税となることです。

通常、年間110万円を超える贈与には10%〜55%の贈与税がかかりますが、本制度を利用すればその負担を大きく抑えることができます。

例えば、祖父母が孫に1,000万円を贈与する場合、通常なら約160万円の贈与税がかかりますが、制度を活用すれば税金はかかりません。

贈与金額が大きいほど、節税効果のメリットもより大きくなります。

参考:国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

教育資金を早めに準備できる

教育資金の一括贈与は、子どもや孫の将来に必要な教育費を早い段階で確保できる制度です。

子どもの教育費は、高校・大学と進学するにつれて増加していきます。

特に大学進学時には入学金や授業料など、まとまった資金が必要です。

教育資金の一括贈与を利用すれば、子どもが小さいうちからまとまった教育資金を準備できます。

早めに備えることで、希望する進路選択や学びの機会をしっかり支援できる点も大きなメリットです。

使い道が明確になる

教育資金の一括贈与の非課税制度では、贈与された資金の使い道が「教育資金」に限定されています。

そのため、教育以外の目的に使われる心配がなく、安心して贈与できる仕組みです。

たとえば、祖父母である贈与者にとっては「確実に孫の教育のために使ってほしい」という思いを形にでき、受贈者の親にとっても「子どもの教育費として確実に活用できる」という安心感を得られます。

さらに、教育費として明確に区分されることで、家計全体の資金計画も立てやすくなり、将来に向けた資金管理がスムーズに進むのではないでしょうか。

教育資金の一括贈与の注意点は?

教育資金の一括贈与には多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。

手続き面での注意点は、専用口座の開設や必要書類の提出など、事務手続きが必要なことです。

資金管理面では、支払いごとに領収書を提出し、厳格なルールに沿って運用しなければなりません。

さらに税金面では、使い残しが出た場合、残額が贈与税の課税対象となる可能性があるため確認が必要です。

ここからは、それぞれの注意点について詳しく整理していきます。

使い道は教育関連に限定される

教育資金の一括贈与の非課税制度では、資金の使い道が「教育資金」に限定されています。

対象となるのは、学校への入学金や授業料、施設費、通学交通費など、学校関係に必要な費用です。

これに加えて、塾や習い事の月謝、学用品代なども非課税対象となります。

一方、趣味目的の旅行費やスマートフォンの購入費、医療費、一般的な生活費などは非課税対象外です。

次に、対象となるか判断が迷いやすい支出についてご紹介します。

参考:文部科学省「教育資金非課税措置Q&A(令和6年4月現在)」

パソコン購入や自動車学校も対象になる?

教育資金の一括贈与では、パソコン購入費や自動車学校の費用も、条件を満たせば対象となります。

パソコンは学校で指定されたものや、授業・修学に必要と認められる場合は非課税扱いとなりますが、純粋に娯楽目的のパソコンは対象外です。

また、自動車学校もパソコンと同様に通学や教育課程に必要なケースでは対象となりますが、単なる趣味としての自動車免許取得は対象外となることがあります。

いずれの場合も、金融機関によって判断が異なることがあるため、事前に確認することをおすすめします。

参考:文部科学省「教育資金非課税措置Q&A(令和6年4月現在)」

専用口座で管理し領収書が必要になる

教育資金の一括贈与を利用するためには、専用の口座で資金を管理し、支払いの都度、領収書などを金融機関に提出する必要があります。

手続きの流れは、支払後に領収書を受け取り、通常1〜2ヵ月以内に金融機関へ提出、内容確認後に専用口座から引き落としという形です。

領収書には「支払者名(受贈者本人名義)」「支払日」「金額」「支払内容」が明記されている必要があり、不備があると認められない場合もあります。

提出が遅れたり領収書が不足したりすると、非課税の適用外となって贈与税が課税される可能性もあるため、事前に確認しておくと安心です。

参考:国税庁「教育資金非課税申告の手続」

契約終了時の使い残しは課税対象になる

教育資金の一括贈与で特に注意したいのが、契約終了時に資金が残っている場合の取り扱いです。

契約が終了するタイミング(受贈者が30歳に達したときなど)で使い残しがあると、その金額は贈与があったものとみなされ、贈与税の課税対象となります。

例えば、1,000万円を贈与されて30歳までに300万円しか使わなかった場合、残りの700万円に対して贈与税がかかる仕組みです。

贈与税率は金額によって異なり、高額になるケースもあります。

参考:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

30歳になったら在学中でも終了になる?

教育資金の一括贈与では、原則として受贈者が30歳に達した時点で、教育資金管理契約が終了します。

ただし、30歳時点で学校などに在学している場合や、教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講している場合には、手続きをおこなうことで最長40歳まで延長が可能です。

延長を希望する場合は、30歳に達する前に金融機関で所定の手続きを完了させる必要があります。

手続きを忘れると自動的に契約終了となり、残額が贈与税の課税対象となります。

なお、在学中であっても40歳に達すると契約は終了しますので、長期の進学計画がある場合は年齢制限も踏まえて検討することが大切です。

参考:文部科学省「教育資金非課税措置Q&A(令和6年4月現在)」

制度内容は変更の可能性がある

教育資金の一括贈与の非課税制度は、これまでも数回の延長や改正がおこなわれてきた時限的な制度です。

今後も適用期限が延長されない、または制度内容が変更される可能性があります。

変更の可能性があるのは、非課税枠の縮小、対象となる教育資金の範囲変更、贈与者死亡時の取扱いなどです。

特に、現在の適用期限(令和8年[2026年]3月31日)を過ぎたあとは、制度自体が終了するリスクも考えられます。

制度を活用するには、制度改正の動向を把握しながら、柔軟に対応できる準備を整えておくことが欠かせません。

教育資金の一括贈与で贈与者死亡の場合はどうなる?

贈与者死亡の場合はどうなるのかをイメージした画像

贈与者が亡くなった場合でも、受贈者が在学中であれば、教育資金の残高は相続税の課税対象になりません。

在学中の子や孫への支援を確実に続けられるメリットがあります。

一方で、すでに卒業している場合や教育資金として使用しない状況にある場合は、残額が相続財産に加算され相続税の対象となるため、使いきれなかった資金には注意が必要です。

この取り扱いは、令和3年の税制改正によって見直されました。

具体的には、23歳以上の大学生の孫であれば残高は非課税、卒業して就職している場合は課税対象となります。

贈与をおこなう際は、贈与者の年齢や健康状態も踏まえ、将来の相続税リスクを見据えた資金計画を立てることがポイントです。

参考:国税庁「令和3年度改正関係(抜粋)」

教育資金の一括贈与が向いている人とは

教育資金の一括贈与は、将来の教育費を早めに確保したい人に特に向いている制度です。

子どもや孫の大学進学や留学など、高額な教育費の発生が見込まれている場合には、大きなメリットを享受できます。

また、贈与者側が高齢で、相続税対策を早期に進めたいケースにも有効です。

一括で贈与することで相続財産を減らしつつ、贈与税の非課税枠を有効活用できます。

受贈者がまだ若く、今後長期にわたり教育資金が必要になる見込みがある場合にも効果的な方法です。   

ただし、資金を教育以外の目的にも使いたい場合にはこの制度は利用できないため、制度の趣旨に合致しているか事前に確認したうえで活用を検討する必要があります。

孫の教育資金の積立方法は他にもある?

教育資金の一括贈与以外にも、孫の教育資金の積立方法はいくつかあります。

学資保険などでコツコツ積み立てる方法や、資産運用しながら備える方法などが代表的です。

積立方法によって、受け取れるタイミングや使い道の自由度にも差があります。

また、運用リスクや受取時期の柔軟性などに違いがあるため、家庭ごとの事情に応じた選択が求められます。

より詳しく他の積立方法を比較検討したい方は、関連記事もぜひ参考にしてください。

関連記事:孫の教育資金の積立方法は?贈与信託のメリット・デメリットや非課税になる条件も紹介!

教育資金の一括贈与と教育資金贈与信託との違いは?

教育資金の一括贈与と教育資金贈与信託は、どちらも子や孫への教育支援を目的とした非課税制度ですが、仕組みに違いがあります。

一括贈与は、金融機関に専用口座を開設して資金を振り込み、領収書の提出による管理が必要です。

教育資金贈与信託は、信託銀行に管理を委託する仕組みで、手続きの負担は少ないものの手数料が発生します。

それぞれメリット・デメリットが異なるため、利用目的や管理のしやすさに応じて選ぶことが大切です。

教育資金贈与信託については、関連記事にて詳しく説明しています。

関連記事:教育資金贈与信託のデメリットは?対象項目一覧や使い切れない場合にどうなるのかを解説

教育費のサポートという目的は共通していますが、制度ごとの特徴を踏まえることが制度選びの鍵になります。

利用目的や手間、管理のしやすさ、将来の資金活用まで見据えて、適切な制度を選ぶことがポイントです。

保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する
保険のお悩みをプロが解決 今すぐ無料相談する

まとめ

教育資金の一括贈与の非課税制度は、祖父母などから子や孫に対して、最大1,500万円までの教育資金を非課税で贈与できる特例制度です。

この仕組みを活用すれば、将来の教育費を効率的に準備できます。

利用にあたっては、家族の状況や教育計画を踏まえ、制度の内容を理解したうえで計画的に進めることが重要です。

また、税制改正により制度内容が変更される可能性もあるため、常に最新情報を確認しながら、柔軟に対応できる体制を整えておくことが求められます。

「教育資金をどのように支援するか」を考える際の一つの選択肢として、本制度の活用も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

数ある保険商品を約40社から簡単比較!お近くの窓口を探す-3
目次