終身保険の受け取り方は?請求のタイミングや死亡保険金・解約返戻金に必要な書類も解説!

将来を見据えて、今契約している終身保険の受け取り方を知っておきたい方もいるのではないのでしょうか。
終身保険の死亡保険金や解約返戻金は、基本的には保険会社への手続きを経て受け取れる仕組みです。
受け取りの際の手続きでは、さまざまな必要書類も求められるため、事前に知っておくと役に立ちます。
本記事では、終身保険での死亡保険金や解約返戻金の受け取り方を、請求のタイミングや必要書類などとともに徹底解説します。


終身保険の受け取り方は?
終身保険の受け取り方は、死亡保険金の場合と解約返戻(へんれい)金のときで異なります。
死亡保険金を受け取る際には、まず被保険者の死亡時に受取人が保険会社に保険金を請求します。
続いて、保険会社から保険金の請求書類と必要書類の案内が送付されますので、必要事項を記入して返送する流れです。
保険会社は返送された書類を確認して支払可能と判断した後、死亡保険金が受取人の銀行口座に振り込まれます。
一方、解約返戻金を受け取る場合は、まず契約者による中途解約の手続きが必要です。
手続きを受けると、保険会社はすでに支払いが済んでいる保険料に基づいて、解約返戻金額を計算します。
計算が終わると、受取人の銀行口座に解約返戻金が振り込まれます。
終身保険の受け取りに必要な書類は?
終身保険の受け取りには、何種類かの書類が必要です。
ただし、必要書類の種類は死亡保険金を受け取るときと、解約返戻金を受け取る場合で異なります。
死亡保険金と解約返戻金のそれぞれのケースに応じて、必要な書類を解説します。
死亡保険金を受け取る場合
まず、死亡保険金を受け取る際に必要な書類は、次のとおりです。
- 死亡保険金の請求書類
- 被保険者の住民票
- 保険金受取人の本人確認書類
- 保険金受取人の戸籍抄本(しょうほん)
- 保険金受取人名義のキャッシュカードや通帳
- 死亡証明書
- 医師の死亡診断書または死体検案書
- 保険証券
このうちの「保険金受取人の本人確認書類」は、運転免許証や健康保険証、パスポートなどのなかから1種類を選んで準備します。
また、死亡証明書は保険会社で指定した様式のものを準備しているケースもあるため、事前に確認してみるとよいでしょう。
解約返戻金を受け取る場合
続いて、解約返戻金の受け取りに必要な書類は、以下のとおりです。
- 解約申請書類(保険会社指定のもの)
- 解約予定の契約の保険証券
- 契約者の本人確認書類
解約申請書類は、死亡保険金の請求書類と同じく、保険会社に解約の意思を伝えた際に保険会社から送付されます。
なお、保険会社の担当者が解約申請書類を持参する場合もあります。
保険証券は保険会社による照会と、解約時の返却に必要になるものです。
あと本人確認書類は、契約者の運転免許証や健康保険証などを準備するのが一般的です。
必要書類はコピーでもいい?
死亡保険金や解約返戻金を請求するとき、「必要書類はコピーでもいいのではないだろうか」と考える方もいるのではないのでしょうか。
保険金や解約返戻金の請求時に、コピーで提出できるかどうかは、必要書類の種類によって異なります。
コピーでの提出が可能な必要書類は、次のとおりです。
- 本人確認書類
- 死亡診断書・死亡検案書
- 戸籍や住民票(ただし発行時期の条件が設けられる場合もある)
- 領収書やレシート
- 死亡証明書などの死亡を証明する書類
- 保険金受取人名義のキャッシュカードや通帳
一方で、コピーでの提出が認められない書類もあるため、注意を要します。
具体的には以下の書類です。
- 保険会社が手配する保険金の請求書類や解約申請書類
- 保険証券
なかでも保険証券の場合は、紛失したときは準備する必要はないことを明記している保険会社もあります。
死亡保険金を請求するタイミングは?

終身保険の死亡保険金を請求するとき、請求のタイミングがよくわからない方もいるのではないのでしょうか。
死亡保険金を請求するのであれば、契約している終身保険の被保険者が亡くなった時点で、なるべく早く請求することが大切です。
なるべく急ぎで請求したほうがよい理由は、後でも触れますが死亡保険金を請求できる期間には期限が設けられているためです。
特に、死亡保険金を葬儀費用の支払いに充てるのであれば、なおさら急いで請求する必要があります。
死亡保険金の手続きには期限がある?
死亡保険金の請求手続きは、被保険者が亡くなった後であればずっとできるわけではありません。
請求の手続きができる期間は、一般的に被保険者が亡くなった日から3年間とされています。
このルールは、「保険法」という法律の第95条にも明記されているものです。
なお、一部の保険商品の場合は、5年間が請求期限になっているものもあります。
参考:【保険金】 生存保険金の支払の案内を受取った。請求手続きの期限を知りたい。|かんぽ生命
ただし受取人が保険契約の存在を知らなかったり、契約者の死亡を知らなかったりするときは、期限の3年を超えても保険金を請求できるケースが多いです。
死亡保険金を受け取れるまでの期間は?
死亡保険金を請求した後、いつ頃受け取れるのかが気になるかと思います。
多くの保険会社では、請求に必要な書類が届いてから5営業日程度で受取人の銀行口座に振り込まれます。
なお、「5営業日での振込」は、保険会社に届いた必要書類に不備がない場合の目安です。
必要書類に何らかの不備がある場合は、書類を追加で郵送する必要があるため、振込までの日数が延びることがあります。
加えて振込にかかる日数も保険会社によって異なるため、必ずしも5営業日で振り込まれるわけではない点にも注意が必要です。
死亡保険金の請求には数種類の書類が必要になるため、確実に請求できるかが心配という方もいるのではないのでしょうか。
もし死亡保険金の必要書類で心配事があるときは、ぜひ「ほけんプラネット」のプロの力をご活用ください。


終身保険は誰が受け取るの?
終身保険の死亡保険金や解約返戻金を請求した後、誰が受け取るのかを疑問に感じることもあるかと思います。
一般的に終身保険の死亡保険金や解約返戻金は、保険を契約した際に「受取人」とした人物が受け取れる仕組みです。
例えば、夫が契約者で妻が受取人になっていれば、夫が亡くなったり中途解約したときに、妻の銀行口座に振り込まれます。
ただし、受取人に指定できるのは、被保険者の配偶者や二親等以内の血族だけです。

二親等以内の血族とは、被保険者の子ども・父母・祖父母・兄弟姉妹を指します。
ほかにも配偶者や二親等以内の血族以外の人物でも、条件によっては受取人に選べるケースがあります。
なお、保険会社によって複数人の受取人を指定したり、受け取る割合を配分したりすることも可能です。
終身保険の受取人は本人にできる?
終身保険を契約していて、「自分(本人)を受取人にできないだろうか」と考える方もいるのではないのでしょうか。
終身保険では、契約者本人を受取人にすることもできます。
死亡保険金は被保険者が亡くなった際に、受取人が受け取る仕組みであるためです。
ちなみに死亡保険金では、被保険者を受取人とすることはできません。
一方で解約返戻金は、あらかじめ本人を受取人にしておくと、中途解約時に本人の口座に解約返戻金が振り込まれます。
終身保険の受取人を本人にできるかどうかについては、以下の記事で詳しく触れていますので、参考になります。
関連記事:終身保険の受取人は本人にできる?誰にするのが良いのか・相続税はかかるのかも解説!
死亡保険金を受け取ったら税金はかかる?
終身保険で死亡保険金を受け取ったとき、税金がかかるのかどうかが気になるかと思います。
死亡保険金を受け取った際には、該当する税金の種類や計算方法によっては税金がかかることがあるため、注意が必要です。
どの種類の税金が発生するのかは、保険の契約者・被保険者・受取人が誰であるかによって異なります。
具体的には、以下の表のとおりです。
契約者(保険料を負担する人) | 被保険者 | 保険金の受取人 | 発生する税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | A | 所得税・住民税 |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
なお税金の種類別の計算方法は、次で例を出しながら見ていきます。
死亡保険金1,000万円の場合の税金はいくら?
ここでは死亡保険金1,000万円を受け取ったときに発生する税金を、税金の種類別に計算してみます。
まず、所得税の対象となったときは、受け取り方法によって計算方法が異なる仕組みです。
死亡保険金をまとめて受け取ったときは、所得税の計算では「一時所得」として扱われます。
一時所得として計算するときは、以下の計算式を使うルールです。
(死亡保険金-すでに支払った保険料の総額-50万円)÷2
仮に保険料の総額が800万円だったときは、(1,000万円-800万円-50万円)÷2=75万円となります。
また、保険金を年金形式(毎月定額を受け取る方法)で受け取ったときは、「雑所得」として計算する仕組みです。
雑所得額は、死亡保険金額からすでに支払った保険料の総額を差し引いて算出します。
この一時所得や雑所得をほかの種類の所得と合算したり、基礎控除額などの控除額を差し引いた後で、税率をかけて最終的な税額を出す仕組みです。
続いて相続税を計算する際には、相続人1人につき500万円の非課税枠があります。
加えて相続税では、「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」の基礎控除額も適用される仕組みです。
もし相続する資産が1,000万円の死亡保険金だけである場合は、この非課税枠と基礎控除額によって非課税となります。
さらに贈与税を計算する際は、1年間に贈与を受けた金額から基礎控除額110万円を差し引いた後、税率をかけます。
死亡保険金1,000万円の場合は、基礎控除額110万円を差し引いた890万円に40%の税率をかけたうえで、125万円を差し引いた231万円が最終的な課税金額です。
解約返戻金を受け取ったら税金はかかる?
「中途解約で解約返戻金を受け取ったときも、税金はかかるのか」という疑問が出てくる方もいるのではないのでしょうか。
解約返戻金の場合も、契約者と受取人の関係性などに応じてかかる税金が異なります。
具体的には、契約者と受取人が同一人物であれば所得税が、それぞれ異なっているときは贈与税が発生する決まりです。
そして所得税の対象となる際に、解約返戻金を一括で受け取った場合は「一時所得」として、年金形式で受け取る際には「雑所得」として扱われます。
終身保険の解約返戻金にかかる税金の計算方法や、確定申告の手続き方法などは下の記事が役に立ちます。
関連記事:終身保険の解約返戻金の税金はいくら?計算方法や確定申告の書き方も徹底解説!
終身保険は死亡時にも解約返戻金がある?
終身保険で被保険者が亡くなった場合、解約返戻金は受け取れません。
解約返戻金とは、あくまでも終身保険を中途解約したときに戻ってくる、積み立て中の死亡保険金であるためです。
解約返戻金の金額は、本来被保険者が亡くなった際に受け取る予定の死亡保険金を、支払い終えた保険料に応じた額で受け取ります。
このような仕組みから、被保険者の死亡時に解約返戻金を受け取ることはあり得ません。
終身保険で死亡時に解約返戻金を受け取れるかどうかを知るには、以下の記事もおすすめです。
関連記事:終身保険は死亡時にも解約返戻金がある?保険金の受け取り方や払込満了後にどうなるのかも解説
終身保険に満期はある?

「終身保険には満期があるのだろうか」と、疑問を抱くこともあるかと思います。
終身保険は一生涯死亡保障を受けられる特徴を持っているため、「満期」自体がありません。
このため、養老保険にあるような満期保険金というものもないのがポイントです。
終身保険で保険金を受け取れるのは、あくまでも被保険者の死亡時と、保険契約の中途解約時に限られます。
終身保険の満期の有無をより深く理解したい方は、以下の記事も参考になります。
関連記事:終身保険に満期はある?解約返戻金の有無やメリット・デメリットも解説!
終身保険の払込満了後はどうすればいい?
「終身保険で保険料の払込満了後はどうすればいいのだろうか」と、悩む方もいるのではないのでしょうか。
終身保険で一定期間だけ保険料を支払う「短期払い」を選ぶと、払込満了後に契約を維持するか、中途解約するかを選べます。
契約を続けた場合、死亡保険金や解約返戻金が払込保険料の総額を上回るケースもあります。
払込満了後は、払込保険料に対する死亡保険金額の割合を指す「返戻率」が上がるためです。
特に中途解約するのであれば、満了直後よりもある程度時間を置いてから解約すると、より多くの解約返戻金を受け取りやすくなります。
終身保険で60歳に払込満了を迎える予定の方は、以下の記事も役に立ちます。
関連記事:終身保険の60歳払込満了後はいつまでに解約するべき?解約返戻金や税金・保障についても解説
終身保険は親から子に契約者変更できる?
終身保険では、親から子に契約者変更も可能です。
契約者変更の手続きは、契約期間中であれば都合に応じていつでもできます。
親が保険料を支払ってきた、子を被保険者とする終身保険であれば、子どもが成人したタイミングなどに合わせて契約者を変更するのもひとつの方法です。
なお、契約者を変更した時点では贈与税はかかりません。
終身保険で親から子に契約者を変更できるかどうかは、以下の記事もおすすめです。
関連記事:終身保険は契約者変更で親から子にできる?手続き方法や必要書類・かかる税金も解説!
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まとめ
終身保険の死亡保険金や解約返戻金は、保険会社への手続きを経て受け取れる仕組みです。
死亡保険金を受け取れる期間は原則3年間で、その間に請求書類や保険証券などの必要書類を提出して手続きします。
ただし、終身保険で受け取った死亡保険金などは、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって税金がかかります。
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