終身保険は契約者変更で親から子にできる?手続き方法や必要書類・かかる税金も解説!

ご家族の万が一に備えて、終身保険の見直しや整理を考えている方もいるかと思います。
なかには、終身保険の契約者を親から子に変更することを検討している方もいるのではないでしょうか。
終身保険の契約者変更手続きは、契約中に保険会社に申し出ればいつでも可能です。
ただ、親から子などに契約者変更した場合、発生する税金も変わってくるため注意が必要です。
本記事では、終身保険の契約者変更で親から子とすることができるのかを、具体的な手続き方法や必要書類などとともに徹底解説します。


終身保険は契約者変更で親から子にできる?
終身保険では、親から子に契約者変更の手続きができます。
終身保険の契約期間の途中であれば、好きなタイミングで変更手続きができる仕組みです。
契約者を親から子に変更する具体的なケースとして、親が今まで保険料を支払ってきた子を被保険者とする終身保険を、子どもの成人を機に名義を変えるといったものが挙げられます。
また、途中での契約者変更によって「生前贈与」の形で相続税対策にもなります。
この際に「贈与税」の基礎控除限度額である110万円を下回る終身保険を複数準備した後、年間110万円を超えない範囲で子への契約者変更を済ませれば、贈与税も発生しません。
なお、契約者を親から子に変更した後も、引き続き親が保険料を支払う形も可能です。
親が亡くなった後に、その保険を中途解約すれば解約返戻(へんれい)金を受け取れます。
終身保険は夫から妻にも契約者変更できる?
加えて終身保険は、夫から妻にも契約者変更ができます。
夫から妻への契約者変更が必要なケースは、例えば離婚後に妻が被保険者となっている終身保険を妻の名義で継続する場合や、夫が健康上の理由で保険料の支払いが難しくなったときなどです。
なお、夫から妻に契約者を変更した際には、保険料の支払いによる「生命保険料控除」は妻の年末調整や確定申告で受けられます。
終身保険で契約者変更する場合の手続き方法
終身保険で契約者変更の手続きをしたいとき、具体的な手続きの流れや方法を知っておくと便利です。
契約者変更をおこなうには、まず加入している終身保険の保険会社の担当者やお客様窓口に連絡します。
契約者変更したい旨を伝えた後、担当者が自宅に手続き書類を持参するか、保険会社から郵送されます。
手続き書類が届いたら、必要書類を確認したうえで、必要事項を記入するなどしてから返送する流れです。
なお、保険会社によっては公式サイト上のマイページから手続きできるところもあります。
この場合は手続きページ上で必要事項を入力すると、数日程度で請求書類が自宅に届きます。
あとは必要書類の準備や記入を済ませ、返送するだけです。
契約者変更に必要な書類は?
契約者変更手続きには、以下のような書類が必要です。
- 保険会社が指定する名義変更請求書類
- 保険証券
- 公的書類(コピー):運転免許証や健康保険証、パスポートなど
名義変更請求書類は保険会社の担当者が届けたり、保険会社の担当窓口から発送されたりするため、ご自身で準備する必要はありません。
このため、請求書類が届くまでに保険証券や公的書類(本人確認書類)のコピーを準備しておくと、スムーズに手続きを済ませられます。
保険会社によっては上記以外の書類が必要とされたり、書類の名称が異なっていたりするため、事前の綿密な確認が欠かせません。
終身保険の契約者変更をする理由で多いのは?

終身保険の契約者変更の手続きをおこなう際に、具体的にどのような理由が多いのか気になるのではないのでしょうか。
終身保険の契約者変更でよくある理由が、次のとおりです。
- 死亡など契約者が万が一の事態に直面したとき
- 結婚や離婚などによって親族関係に変化が生じたとき
- 契約者の健康上の理由
- 税金対策
万が一の場合や健康上の理由で契約者が保険料を支払うのが難しくなったときや、結婚や離婚などで保険料を支払っていく方が変わったりしたときなどが挙げられます。
なかには、相続対策として早い段階で親から子どもに契約者を変更するケースもあります。
税金対策による契約者変更については、子どもなどが将来受け取る死亡保険金や解約返戻金で発生する税金を極力避けるために、よくとられる方法です。
終身保険の契約者変更をしないとどうなる?
もし終身保険で契約者変更をしない場合、契約者と被保険者や、契約者と受取人との関係性でトラブルに発展することがあります。
例えば、離婚したときに妻の終身保険の契約者を夫から妻に変更しなかった場合、妻が保険金の受取人を夫から子に変更することができません。
実は終身保険など生命保険の契約者や受取人の変更手続きは、契約者でなければできない仕組みです。
もし離婚時に契約者変更をしなかったとき、元夫の一存で別の人物を受取人にされるケースもあります。
終身保険で契約者死亡・被保険者生存の場合はどうなる?
終身保険の契約者が死亡し、被保険者が生存していた場合は、契約者が実際に保険料を支払っていたかどうかで扱いが異なります。
まず、契約者が保険料を負担していたときは、相続人が保険契約に関する権利を相続するとともに、相続税を課税される仕組みです。
ちなみに、契約者の支払っていた保険料が一部であれば、その割合に応じた保障金額が課税対象になります。
一方、契約者が生前に保険料を負担していなかった場合は、相続税は課税されません。
終身保険で死亡時に解約返戻金を受け取れるのかや、保険金の受け取り方などについては、以下の記事も役に立ちます。
関連記事:終身保険は死亡時にも解約返戻金がある?保険金の受け取り方や払込満了後にどうなるのかも解説
終身保険の契約変更手続きは本人以外でもできる?
終身保険の契約者変更の手続きは、原則として契約者本人だけができるルールです。
ただし、本人以外の人物が手続きしたいのであれば、委任状や代理人制度によって手続きできます。
委任状を使う際には、契約者に委任状をつくってもらったうえで、委任された旨を保険会社に示すことで手続きする流れです。
なお、委任状を示す際は委任を受けた人と契約者の本人確認書類も必要になります。
また、代理人制度は契約者が病気などの理由で意思表示できないときに、事前に指定した代理人が代わりに手続きをおこなう方法です。
代理人は、契約者の3親等以内の成人親族であれば指名できます。
終身保険で被保険者の変更はできない?
終身保険で契約者は受取人を変更できる一方で、被保険者が変更できるかどうかがよくわからない方もいるかと思います。
実は終身保険を含め生命保険では、被保険者は保険の対象者であることから、変更手続きはできません。
例えば、一旦契約者自身を被保険者として契約した後は、途中で妻や子を被保険者にすることができない仕組みです。
そのため、終身保険など生命保険を契約する際には、被保険者を誰にするのかは綿密に確認して選ぶとよいでしょう。
終身保険の契約者や受取人の変更手続きは、こまめにおこなうわけではないため、手続きの流れやおすすめのタイミングがわからない方もいるのではないでしょうか。
もし契約者などの変更手続きや適切なタイミングがわからないときは、ぜひ「ほけんプラネット」のプロにご相談ください。


終身保険の契約者変更をするデメリットは?
終身保険など生命保険での契約者変更には、デメリットもあります。
最大のデメリットとして挙げられるのが、新しい契約者が今後保険料を支払っていかなければならない点です。
生命保険では「契約者=毎月保険料を負担する人」であるため、契約者になった人物は保険料の負担を覚悟する必要があります。
ただ保険料については、1年間支払った金額に応じて確定申告や年末調整で生命保険料控除を受けられるため、節税対策は可能です。
終身保険の契約者変更した場合に税金はかかるのか

「終身保険で契約者変更した場合、税金がかかるのではないのか」と不安になる方もいるのではないしょうか。
終身保険で契約者変更の手続きをしても、その時点では税金は発生しません。
ただし、変更手続き後に死亡保険金や解約返戻金を受け取ったときは、その時点での契約者と受取人の関係性に応じて税金が発生する仕組みです。
終身保険の保険金や解約返戻金の受け取りで発生する税金別に、どのように課税されるのかを見ていきます。
贈与税がかかる場合
まず、贈与税は契約者と被保険者、受取人が全部異なる場合に発生する仕組みです。
例えば契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どものケースであれば贈与税が課税されます。
贈与税は、受け取った保険金や解約返戻金から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に対して課税される仕組みです。
110万円差し引いた後の金額に応じた税率をかけた分が、実際に支払う税額となります。
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
相続税がかかる場合
続いて相続税は、契約者と被保険者が同じ人物で、受取人が別の人物であるときに発生する税金です。
例えば、契約者と被保険者が夫で、受取人が妻や子どものような場合に課税されます。
なお、契約者が保険料の払込を完了する前に亡くなった際には、契約者が払い込んでいた保険料の割合分の保険金に対して相続税が発生する仕組みです。
ちなみに相続税の計算では、法定相続人が保険金を相続するケースに限り、相続人1人につき500万円の非課税枠を活用できます。
参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
所得税や住民税がかかる場合
さらに所得税や住民税は、契約者と受取人が同一人物であるときに課税されます。
この場合、被保険者は契約者・受取人とは別の人物であることが条件です。
所得税や住民税の課税対象として計算する際には、解約返戻金の受け取り方に応じて申告する所得の種類が異なります。
解約返戻金を一括で受け取ったときは、「一時所得」として扱われるため、所得額は以下の計算式で出たものを申告するルールです。
(受け取った解約返戻金額-支払い済みの保険料額-50万円)÷2
一方で解約返戻金を年金形式で受け取る際には、「雑所得」として申告します。
住民税については、確定申告や年末調整を利用した方については役所などが計算します。
終身保険の解約返戻金にかかる税金や計算方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も便利です。
関連記事:終身保険の解約返戻金の税金はいくら?計算方法や確定申告の書き方も徹底解説!
契約者変更は税務署にもバレる?
「終身保険で契約者変更手続きすると、税務署にバレるのだろうか?」と考える方もいるかと思います。
実は契約者変更手続きの内容は、税務署も把握している情報です。
保険会社が契約者に保険金や解約返戻金を支払った場合、その内容は税務署に「支払調書」の形で報告されます。
そして支払調書には、過去の契約者変更の内容や手続きした回数も記載されるため、税務署は間違いなく契約者変更について把握します。
加えて、前の契約者の死亡で契約者が別の人物に変わったときも、保険会社は「保険契約者等の異動に関する調書」を提出するルールです。
このように契約者を変更すると、税務署は確実に新しい契約者などの情報を得ます。
契約者変更と税金の関係をより詳しく知り、将来の税金負担に備えたい方は、ぜひ「ほけんプラネット」にお話しください。


まとめ
終身保険で親から子に契約者を変更することは、契約中であればいつでも可能です。
保険会社から受け取る書類に必要事項を記し、必要書類を添えて提出すれば手続きが完了します。
ただし、契約者変更をおこなうと、契約者・被保険者・受取人の関係に応じて発生する税金が異なってくる点に注意が必要です。
契約者変更手続きの方法や、それによって発生する税金で不安がある方は、ぜひ「ほけんプラネット」にご相談ください。