収入保障保険とはどんなものかわかりやすく解説!加入が必要な人やメリット・デメリット
「自分に万が一のことがあると、家族が路頭に迷ってしまう」
ご自身が世帯主で家族を養っている場合、ふとこのように思ってしまう方は多いのではないでしょうか?
万が一のことがあっても、家族に苦労をさせたくないと思っている方もいるはずです。
この記事では、ご自身に万が一のことがあっても、ご家族に収入を残せる収入保障保険とはどんなものかをわかりやすく解説します。
収入保障保険のメリットやデメリット、他の生命保険との違いについてもわかりやすく説明しますので参考にしてください。
収入保障保険とはどんなものかわかりやすく解説!
収入保障保険とは、死亡後の遺族の収入を保障する保険です。
万が一のとき、遺族は毎月決められた金額を年金として受け取ることができます。
まるで「給料のように」月々お金を受け取れるのが、収入保障保険の大きな特徴です。
一般的な生命保険の場合、保険の対象者に万が一のことがあった場合、遺された家族は保険金を一括で受け取ります。
ですが収入保障保険は、あらかじめ決められた期間、毎月決められた金額を年金として受け取ることが可能です。
まず、収入保障保険の特徴などについてわかりやすく解説していきます。
生命保険(死亡保険)の種類
生命保険(死亡保険)には、主に3つの種類があります。
- 終身保険
- 定期保険
- 収入保障保険
それぞれの保険のポイントをまとめました。
終身保険 | 定期保険 | 収入保障保険 | |
保険期間 | 一生涯 | 期間が決まっている | 期間が決まっている |
更新 | なし | できる | できない |
保険料 | 定期保険より割高 | 収入保障保険より割高 | 定期保険より割安 |
お金の受け取りかた | 一度にまとめて受け取り | 一度にまとめて受け取り | 一括または分割で受け取り |
保険の主な目的 | 遺族の生活を保障するために | 遺族の生活を保障するために | 遺族の生活を保障するために |
保険を受け取る人 | 遺族 | 遺族 | 遺族 |
終身保険は保険期間が一生涯続きます。
なので終身保険に加入している限り、万が一のことが起きれば保険金の受け取りが可能です。
一方、定期保険はあらかじめ決められた期間が保険期間になるので、保険期間が過ぎると自動的に保障がなくなります。
保険金の受け取り方は、終身保険も定期保険も一括で受け取ることが基本です。
さらに、収入保障保険は定期保険と同様に、あらかじめ決められた期間が保険期間になります。
また、収入保障保険の特徴として、終身保険や定期保険とは違い、保険金を毎月年金のように分割で受け取れるということが挙げられます。
それでは、収入保障保険の仕組みについて見ていきましょう。
収入保障保険の仕組み
収入保障保険の仕組みは以下の通りです。
定期保険から合理的に保障をカットしたものが収入保障保険です。
保障をカットした分、保険料も割安です。
また、掛け捨てや一定期間の保障といった、定期保険の特徴もあわせ持っています。
遺族は一括で保険金を受け取るわけではなく毎月一定の金額を受け取れるので、計画的な生活設計が可能です。
一括で保険金を受け取ってしまった場合、つい使いすぎてしまうケースもあるため、安定した生活を考えた場合に安心感もあるでしょう。
続いて、収入保障保険の保険金の受取方法を説明します。
収入保障年金の受取方法
収入保障保険の保険金の受取方法は、主に3つあります。
- 毎月一定金額を年金で受け取る
- 一括で受け取る
- 一部を一括で受け取り、残りを毎月年金で受け取る
収入保障保険はあくまでも年金で保険金を受け取るのが基本です。
しかし、商品によっては一括で受け取ったり、一部を一括で受け取り残りを毎月年金で受け取る保険もあります。
ただ一括で受け取る場合、毎月年金で受け取るより受け取れる総額が少なくなるのが一般的なので注意しましょう。
また収入保障保険の商品によっては、毎月ではなく1年に1回年金を受け取る保険や半年、2ヵ月に1回保険を受け取る商品もあります。
収入保障年金の最低保証期間
収入保障保険の年金には最低保証期間があります。
最低保証期間とは、「遺族が必ず年金を受け取れる期間」です。
例えば、最低保証期間が5年の収入保証保険の場合、保険期間満了の1年前に万が一のことがあったとしても、遺族は5年間年金を受け取れます。
収入保証年金の最低保証期間は商品によって異なりますので、必ず事前に確認するようにしましょう。
収入保障保険と似ている保険がある?
収入保障保険と似ている保険には、「就業不能保険」「所得補償保険」の2つがあります。
収入保障保険と就業不能保険、所得補償保険の違いは以下の通りです。
収入保障保険 | 就業不能保険 | 所得補償保険 | |
補償(保障)内容 | 被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合の長期的な収入減少に備える | 病気やケガで働けなくなった場合の長期的な収入減少に備える | 病気やケガで働けなくなった場合の短期的な収入減少に備える |
保険期間 | 長期(60歳・65歳まで等) | 長期(60歳・65歳まで等) | 短期(1年更新等) |
補償(保障)対象となる期間 | 長期(基本的に保険期間と同じ) | 長期(基本的に保険期間と同じ) | 短期(1ヵ月や1年等) |
保険金の受取人 | 主として被保険者の家族 | 被保険者 | 被保険者 |
収入保障保険とそれぞれの保険の違いについて、詳しく解説をします。
収入保障保険と似ていますが、異なる保険なので注意しましょう。
就業不能保険との違いと選び方
就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなった場合の長期的な収入減少に備える保険です。
収入保障保険は、被保険者(保険の対象者)に万が一のことがあった際に保険金が下りる保険なのに対し、就業不能保険は病気やケガで働けなくなった場合に下りる保険です。
病気やケガで働けなくなったときの収入の減少に備えたい人は「就業不能保険」、死亡した際に家族の生活費を保障したい人には「収入保障保険」がよいでしょう。
所得補償保険との違いと選び方
所得補償保険は、就業不能保険とほぼ同じですが、保険期間が異なります。
所得補償保険の保険期間は1年などの短期間であるのに対し、就業不能保険は10年などの長期間の保障期間になります。
保険期間以外は、所得補償保険と就業不能保険はほぼ同じです。
よって収入保障保険との違いも同じになります。
家族構成やその年齢、住宅ローンの有無や働き方に合わせて選ぶのがよいでしょう。
収入保障保険のメリット
収入保障保険には様々なメリットがありますが、主なメリットは3つです。
- 保険料が安い
- 手厚い死亡保障が準備できる
- 毎月定額の保険金が受け取れる
収入保障保険のメリットについてわかりやすく解説します。
保険料が安い
収入保障保険は、一般的に終身保険や定期保険に比べて保険料が安くなります。
安い保険料で毎月安定した収入を家族に残せるのは大きなメリットでしょう。
では、なぜ収入保障保険は一般的に終身保険や定期保険に比べて保険料が安いのでしょうか?
主な理由は以下の2つです。
- 保険期間の経過に伴い、保障金額が少なくなるから
- 一括での受け取りではなく、年金での受け取りになるから
それぞれの理由についてわかりやすく解説をします。
収入保障保険が安い理由
収入保障保険の保険料が安い理由は、終身保険や定期保険と異なり、保険期間の経過に伴い保障が小さくなっていくからです。
上の図のように、定期保険や終身保険は保険期間中の保障額が一定ですが、収入保障保険は保険期間が経過するにつれて、保障金額は少なくなります。
よって保険料も安くなるのです。
また収入補償保険は基本的には一括で保険金を受け取るのではなく、分割で受け取ります。
一方、終身保険や定期保険の保険金は一括で受け取るのが基本です。
長い期間かけて保険金を受け取るので、保険料が安くなります。
手厚い死亡保障が準備できる
収入保障保険は終身保険や定期保険に比べて保険料が安いため、その分、手厚い死亡補償の準備ができます。
保険金額を大きくしても保険料が安いからです。
また、必要な時に必要なだけの保障を用意できるのも収入保障保険の大きなメリットでしょう。
特に子供がいる家庭の場合、子供が小さいときは大きな保障が必要になります。
しかし、子供が独立すれば、それほど大きな保障は一般的に必要ありません。
収入保障保険の保証は先ほどの図のようになりますので、必要な時に必要な手厚い死亡補償の準備ができるのは大きなメリットでしょう。
毎月定額の保険金が受け取れる
収入保障保険の保険金は、基本的に毎月年金のように受け取ります。
毎月一定金額の保険金を受け取れるのは、生活設計の上でも非常に大きなメリットです。
なぜなら、終身保険や定期保険などの保険金のように一括で受け取ってしまうと、ついつい使いすぎてしまう可能性がありますし、投資詐欺など大きな被害にあってしまう可能性も考えられるからです。
その点、給料や年金のように毎月一定の金額が入ってくれば安定した生活を送ることが可能です。
収入保障保険のデメリット
収入保障保険には様々なメリットがありますが、デメリットもあります。
主なデメリットは4つです。
- 解約払戻金や満期保険金がない
- 保険期間終了間近だと受け取れる保険金が少ない
- 大きな支出には向いていない
- 税金が複雑になる
収入保障保険のそれぞれのデメリットについてわかりやすく説明をします。
解約払戻金や満期保険金がない
収入保障保険は、終身保険のように解約返戻金がありません。
また、養老保険のように満期保険金もないです。
収入補償保険は基本的に定期保険と同じく掛け捨ての保険になります。
解約返戻金や満期保険金があれば、万が一のことがなくても一定の金額を受け取ることが可能です。
平均寿命は年々高くなっており、若いうちに万が一がある可能性は低いので、収入保障保険に加入しても、ほとんど保険金を受け取らないケースの方が多いでしょう。
もちろん何が起こるかわからないので、お守りの意味としても保険に加入する意味はあります。
ただし、解約返戻金や満期保険金がないのはどうしてもデメリットに感じられてしまいます。
保険期間終了間近だと受け取れる保険金が少ない
収入保障保険は、保険期間の経過につれて保険金が少なくなります。
必要な時に手厚い保障ができるので、メリットが大きい保険ではありますが、保険期間終了間近に万が一のことがあったとしても、大きな金額は受け取れません。
一般的な収入保障保険は最低保障期間があるので、最低保障期間分の保険金は受け取れます。
ただし、受け取れる保険金は保険期間が経過していない時に比べて少なくなってしまうので、デメリットになるでしょう。
その点、終身保険や定期保険は保険期間内であれば、もしものことがあっても満額の保険金を受け取ることができます。
大きな支出には向いていない
収入保障保険は、基本的に保険金を毎月分割して受け取ります。
終身保険や定期保険のように一括で保険金を受け取るわけではありません。
残された家族は生活設計が立てやすいメリットはありますが、一括で保険金を受け取れないため、大きな買い物はしづらいです。
残された遺族が一度に大きな支出に迫られた場合、十分な用意ができないのは収入保障保険のデメリットになるでしょう。
住宅を購入していなかったり、子供の教育費が立て続けにかかる場合などは、終身保険や定期保険を併用するのがおすすめです。
税金が複雑になる
収入保障保険の税金はやや複雑です。
収入保障保険の税金を考える際は保険の対象者である被保険者が亡くなった時と年金を受け取るときの2段階で考える必要があります。
まず、被保険者が亡くなったときの税金は、以下の通りです。
被保険者 | 契約者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
Aさん | Aさん | Bさん | 相続税 |
Aさん | Bさん | Cさん | 贈与税 |
年金を受け取る受給権を引き継ぐため、相続税もしくは贈与税がかかります。
また、年金を受け取るときの税金は以下の通りです。
被保険者 | 契約者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
Aさん | Bさん | Bさん | 所得税 |
Aさん | Aさん | Bさん | 相続税 |
Aさん | Bさん | Cさん | 贈与税 |
年金を実際に受け取る際は、所得税もしくは相続税、贈与税がかかります。
このように、収入保障保険の税金がやや複雑なのはデメリットになるかもしれません。
収入保障保険にはこれらのメリット・デメリットがあります。
それらも考慮したうえで、必要かどうかを検討してみましょう。
収入保障保険が必要な人とは
収入保障保険が特に必要な人の特徴を3つまとめました。
- 家計を支えている人
- 子供がまだ小さい人
- 個人事業主やフリーランスの人
収入保障保険は、必要な時に必要な保障を得られる非常に効率のよい保険なので、多くの人に需要があります。
その中でも特に収入保障保険が必要な人についてまとめましたので、参考にしてください。
家計を支えている人
家計を支えている世帯主などは、収入保障保険への加入を検討すべきです。
なぜなら、万が一が起きた際、残された家族への影響が大きいからです。
家計を支えている人に万が一のことがあると、残された家族はその後の生活ができなくなってしまう可能性があります。
生活を立て直していくためにも、どうしても時間が必要になりますが、その間の生活費が保障されているだけでも大きな安心につながります。
もしもの事態を避けるためにも、毎月一定の金額を残せる収入保障保険に加入しておいた方がよいでしょう。
子供がまだ小さい人
子供が小さいと、その後教育費がどんどんかかるため、一定の保障を検討しておくべきです。
収入保障保険であれば、加入直後の保障は手厚いため、子供が小さい時に必要な保障を用意できます。
また、収入保障保険は保険期間が経過すればするほど保障は小さくなりますが、子供が独立すればそんなに大きな保障は必要ありません。
本当に必要な保障を比較的リーズナブルな保険料で用意できるので、子供がまだ小さい人は収入保障保険への加入を検討すべきでしょう。
残された家族が子育てしていく上でも、必ず支えになるはずです。
個人事業主やフリーランスの人
個人事業主やフリーランスの人は収入保障保険への加入を検討した方がよいでしょう。
なぜなら、個人事業主やフリーランスの方の場合、会社員の人に比べて、遺族への保証が薄いからです。
会社員であれば厚生年金に加入しているので、遺族年金も比較的手厚いです。
しかし個人事業主やフリーランスは国民年金にしか加入していないケースが多いため、遺族年金の保障は薄くなってしまいます。
残された家族が困らないためにも、収入保障保険への加入を検討した方がよいでしょう。
おすすめの収入保障保険
おすすめの収入保障保険の条件は3つあります。
- 保険料
- 保険会社の体力
- 受け取り方の自由度
収入保障保険を加入する際、保険料は非常に重要なポイントです。
全く同じ保障金額でも保険会社によって保険料は異なるので、できるだけ多くの保険会社を比較検討しましょう。
また、収入保障保険は長期間の保険になるので、保険会社の体力も重要です。
万が一収入保障保険に加入している間に倒産なんてことがあると、あらかじめ決められた保障を受けられなくなってしまう可能性があるからです。
保険会社の体力に関しては、ソルベンシー・マージン比率がひとつの基準になります。
ソルベンシー・マージン比率は、保険会社に対して、早めの経営改善を促すための指標となるものです。
この同比率が200%を下回ると早期是正措置命令が発動されます。
よってソルベンシー・マージン比率が200%以上の保険会社を選ぶようにしましょう。
参考記事:金融庁「ソルベンシー・マージン比率とは」
最後に、保険金の受け取り方も重要なポイントです。
基本的に収入保障保険は毎月年金のように分割で受け取ります。
ですがライフスタイルによっては、フレキシブルな受け取り方ができる方がよいケースがあります。
一括での受け取りや、一部を一括、残りを分割で受け取りたいなど、受け取り方についてもしっかりと検討し、基準を満たした収入保障保険に加入するようにしましょう。
収入保障保険は何歳までに加入するべき?
収入保障保険には、できるだけ若いうちに加入することをおすすめします。
特に子供がいる家庭の場合は、子供が小さいうちに加入すべきです。
年齢による基準はあまりありませんが、年齢が高くなるにつれて保険料が高くなるので、できるだけ若いうちに加入するのがよいでしょう。
ただし、あくまでも収入保障保険が必要な場合に入るようにしてください。
人によっては、収入保障保険ではなく、終身保険や定期保険の方が必要なケースがあります。
専門家にも相談しながら、ご自身に合った保険を選ぶようにしましょう。
収入保障保険のやめどきは?
収入保障保険のやめどきは、保障が必要なくなったタイミングです。
また収入の減少などで、保険料を支払うのが難しくなった時もやめどきといえます。
必要ない保証のために保険料を払うのはもったいないですし、生活に余裕がない中で、収入保障保険に無理に入るのも意味がありません。
収入保障保険は掛け捨て?
収入保障保険は基本的に掛け捨ての保険なので、解約返戻金や満期保険金はありません。
どのタイミングで解約しても、手元には何も残らない掛け捨ての保険です。
掛け捨ての保険と聞くと少し悪いイメージを持つかもしれませんが、その分、月々の保険料の負担が終身保険や養老保険などに比べると安いメリットがあります。
解約返戻金や満期保険金が出る終身保険や養老保険の場合、解約するタイミングによっても解約返戻金や満期保険金の金額は大きく異なります。
一方、収入保障保険は掛け捨てで、もともと解約返戻金や満期保険金が出ないので、やめるタイミングを選ぶ必要はありません。
まとめ
この記事では収入保障保険について、他の生命保険との違いや収入保障保険のメリット・デメリット、収入保障保険に加入した方がよい人の特徴などについて説明しました。
収入保障保険は、必要な期間の保障を安い保険料で準備できるメリットがあります。
また、毎月定額の保険金を受け取れるので、残された遺族の生活設計が立てやすいのもメリットです。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、収入保障保険の内容について理解いただければ幸いです。