就業不能状況証明書とは?労務不能証明書との違いやどこでもらえるのかもまるっと解説!

病気やけがに備えて就業不能保険に加入する際、実際に働けなくなったときに給付金を請求する手続きについても知っておきたいのではないかと思います。
そして、就業不能保険の給付金の請求で、「就業不能状況証明書」という書類を耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか。
就業不能状況証明書(就業不能証明書)は、給付金を請求する際に欠かせない書類の1つです。
この書類の発行してもらう方法や活用方法を知っていると、給付金が必要なときに便利です。
本記事では就業不能状況証明書について、よく似た書類である労務不能証明書との違いや、どこでもらえるのかにも触れながら徹底解説します。


就業不能状況証明書とは
就業不能状況証明書(就業不能証明書)とは、就業不能保険で給付金を請求する際に欠かせない必要書類の1つです。
必要事項を記入したうえで、ほかの書類とともに保険会社に提出します。
保険会社は提出された就業不能状況証明書などをもとに、就業不能保険の被保険者に給付金を支給できるかを審査します。
就業不能状況証明書は、診断書と入院・通院の証明がセットになっているため、治療を担当している医師に記入してもらうのが原則です。
記入する内容も、傷病名・治療期間・投薬内容・医師の所見など、医師でなければ記せない項目が並んでいます。
就業不能状況証明書はどこでもらえる?
就業不能状況証明書(就業不能証明書)は、加入している就業不能保険を提供している生命保険会社が準備します。
入手の際は保険会社のスタッフに郵送または届けてもらうか、被保険者ご自身が保険会社の公式サイトにアクセスしてこの証明書をダウンロードします。
続けて、入手した証明書を治療を受けている医療機関に持参し、担当医師に内容を書いてもらいましょう。
医師に書いてもらった後は保険会社に送付し、給付金の審査が終わるまで待ちます。
就業不能状況証明書の料金は?
就業不能状況証明書(就業不能証明書)の発行自体に料金はかかりません。
郵送してもらったりダウンロードしたりするだけであれば、無料でできます。
しかし、医師に記入してもらう場合は診断書の発行と同じ扱いになるため、料金が発生します。
医療機関での診断書の発行に必要な料金は、2,000円から1万円程度が相場です。
具体的な金額は、発行する医療機関の料金設定や記入する内容などによって異なります。
そのため、事前に医師に相談しておくと良いでしょう。
就業不能状況証明書と労務不能証明書の違いは?
就業不能状況証明書(就業不能証明書)とよく似た名前の書類に、「労務不能証明書」もあります。
労務不能証明書とは、病気やけがで働けないことを証明するために、担当医師が発行する書類です。
発行された労務不能証明書は、会社員や公務員が健康保険で傷病手当金を申請する際に使われます。
傷病手当金の給付審査で、企業や健康保険の担当者が給付すべき事由があるかどうかを確認する際に使われるのが労務不能証明書です。
なお、労務不能証明書は診断書とは異なるため、傷病手当金の請求では診断書やその他の必要書類とともに提出する必要があります。
労務不能証明書はどこでもらえる?
労務不能証明書は、仕事ができない理由になっている病気やけがの治療を担当している医師が発行するのが一般的です。
基本として、医師の診察を受けるなかで発行を依頼できます。
なお、記入される内容は、傷病の名前・初診日・労務不能の期間などです。
また、労務不能証明書は毎月1度発行してもらいます。
毎月1枚ずつ発行されたものを会社や健康保険に届け出ることで、引き続き傷病手当金を受け取る際の証明にできます。
労務不能証明書の料金は?
労務不能証明書を発行する際にかかる料金は、2,000円から5,000円が一般的な相場です。
ただし、具体的な発行料金は、診療を受けている医療機関によって異なります。
このため、労務不能証明書を発行してもらいたい場合は、事前に医師や医療機関のスタッフに尋ねておくと良いでしょう。


就業不能保険を請求する場合の手続き方法

就業不能保険の給付金を請求する際、所定の手続きを経ることが欠かせません。
とはいえ、具体的な請求手続きの流れがよくわからない方もいるかと思います。
就業不能保険の請求手続きの流れは、以下の通りです。
- 保険会社への連絡
- 必要な書類の入手(スタッフからの送付やダウンロードなど)
- 必要書類の準備・記入
- 書類の送付・審査
- 給付決定
まず、就業不能保険を契約している保険会社に連絡します。
連絡手段は原則として電話で、請求専用の電話番号に連絡する流れです。
電話口でスタッフに相談すると、必要な書類を指示されます。
加えて、保険会社から請求書類を送ってもらったり、保険会社の公式サイトでダウンロードしたりして書類を準備しましょう。
書類を入手したら、必要事項を記入のうえで保険会社に送ります。
必要書類が保険会社に届いた後は給付に向けた審査がおこなわれ、給付が決定すると指定した口座に給付金が振り込まれます。
就業不能保険の請求手続きに必要な書類
就業不能保険の給付金を請求する際、必要な書類は次のとおりです。
- 保険会社指定の請求書類
- 保険会社指定の診断書
- 障害等級の証明書類(障害等級を理由に請求する場合)
基本的には、保険会社が指定した請求書類と診断書に記入し、保険会社に送ります。
請求書類には、被保険者の氏名・証券番号・受取人の名前・振込先口座などを記入するのが一般的な形式です。
また診断書は、後で触れるように医師による客観的な所見などをもとに、保険会社が給付の可否を決定する際に使われます。
さらに障がいを理由に請求する場合は、年金証書や精神障害者保健福祉手帳などのコピーを1点準備します。
ほかにも交通事故が原因で給付を請求する際は、事故状況証明書や交通事故証明書も必要です。
就業不能状態の証明は診断書が必要なのか
就業不能保険の給付請求でよくある疑問が、「就業不能状態の証明に診断書が必要なのか」というものではないでしょうか。
就業不能保険の請求で診断書は欠かせません。
就業不能保険の給付金を支給してもらうには、保険会社が定める就業不能状態に当てはまることが条件であるためです。
このため、担当医師の客観的な所見が記された診断書を発行してもらうことで、保険会社も給付について審査しやすくなります。
なお、診断書の発行には2,000円から1万円程度の料金が必要です。
就業不能状態を証明するうえで診断書が必要かどうかについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:就業不能状態の証明は診断書が必要?就業不能保険の給付金請求に必要な書類や手続き方法を解説
傷病手当金を受給する場合の手続き方法
病気やけがで働けない場合に備えて、傷病手当金を受け取るための手続き方法を知りたい方もいるかと思います。
傷病手当金を受け取る際、一定の手続きを済ませる必要があります。
手続きの流れは、以下の通りです。
- 勤務先に長期間の休みの必要性を伝える
- 3日間連続で休む(待機期間)
- 必要書類の準備・申請
まず、勤務先の上司などに長期間休む必要性を伝えます。
その際、有給休暇と欠勤・休業をどうするかも相談しましょう。
実は傷病手当金は、3日連続で休んだ後に支給されるルールです。
この3日連続する期間が「待機期間」となり、支給開始のタイミングを判断する基準といえます。
もし可能であれば、待機期間の間に必要な書類を準備し、その後会社経由で申請すれば傷病手当金を受給できます。
傷病手当金の請求手続きに必要な書類
傷病手当金の請求手続きに必要な書類は、次のとおりです。
- 傷病手当金支給申請書
- 労務不能証明書
- 申請期間の勤務状況や給与を証明する書類
傷病手当金支給申請書は、勤務先の担当部署で手渡されたり郵送してもらえたりします。
なお、協会けんぽ(全国健康保険協会)の公式サイトからでもダウンロードが可能です。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
傷病手当金支給申請書には、ご自身で記入する欄のほか、勤務先や医師が記入する欄もあるため、書く前によく確認してください。
また、労務不能証明書は担当医師のいる医療機関で発行してもらえます。
診療の際に医師に発行を依頼するなどして用意しましょう。
ほかにも、申請期間の勤怠状況がわかるタイムカードや、給与の支払い状況を把握できる賃金台帳なども添付します。
「就業不能」とはどういう状態なのか

就業不能保険で給付金を受け取る際、保険会社の指定する「就業不能」の状態になっていることが前提です。
しかし、「就業不能」の状態の定義は保険会社によっても異なるため、具体的にどのような状態を指すのか気になるのではないでしょうか。
給付金支給の条件となる「就業不能」のなかには、多くの保険会社で似通っているものもあります。
このため、次にご紹介する状態を参考にすると、今後病気やけがで働けなくなって給付金を請求する際に役立ちます。
就業不能状態の具体例
就業不能状態の具体例は、以下のものが代表的です。
- 入院して病気やけがを治療していること
- 医師の指示で自宅などで在宅療養していること
- 障害等級1級または2級に該当すること
- 特定障害状態
まず、病院やけがの治療のために入院している方は、基本的に就業不能保険の給付金を受け取れる就業不能状態にあるとみなされます。
また、医師の指示で在宅療養している方も同様です。
なお、「在宅療養」にはご自宅で療養している場合だけでなく、介護施設などで療養に努めているケースも含まれます。
さらに、身体障がいなどが理由で障害等級1級や2級に該当する方も、就業不能状態に当てはまります。
このほかにも、保険会社各社が定める特定障害状態の方も就業不能保険の給付金が支給される対象者です。
就業不能状態の具体例をより詳しく知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
関連記事:就業不能状態の例は?働けなくなる確率や原因・支払いまでの待機期間についても解説
就業不能状況証明書は退職する際にも必要?
病気やけがを理由に働けなくなり、それがもとで退職する際、就業不能保険の給付金を受け取りたい方もいるのではないでしょうか。
そして退職の際、就業不能状況証明書(就業不能証明書)が必要か疑問に感じる方もいるかと思います。
就業不能保険は退職後も就業不能の状態が続く限りは、給付金を受け取り続けられます。
このため、就業不能状況証明書は退職する際にも必要です。
退職後も給付金を受け取りたい場合は、医師や保険会社とよく相談したうえで手続きを進めると良いでしょう。
なお、給付金を受け取れる期間は「10年間」や「65歳まで」などと長期的に決められるため、療養期間が長引く場合も安心です。


まとめ
就業不能状況証明書(就業不能証明書)は、就業不能保険で給付金を受け取る際に欠かせない書類の1つです。
保険会社に発行してもらった後、治療を担当する医師に内容を書いてもらったうえで送付すると、給付金支給の審査に使われます。
一方で労務不能証明書は、健康保険で傷病手当金を受け取る際に必要な書類です。
就業不能状況証明書とは使われる目的が異なるものの、就業不能保険と傷病手当金の両方を使うことで病気やけがの療養中に起きる経済面の心配をかなり緩和できます。
病気やけがで働けなくなった場合に備えて就業不能保険を契約する際は、就業不能状況証明書についても知っておき、活用するべきケースに備えると良いでしょう。