所得補償保険と就業不能保険の違いは?支払要件や選び方のポイントもまとめて紹介!

今は健全に仕事ができていても、突然の病気やけがが原因で働けなくなったときのことを考えると不安になるかと思います。
病気やけがで働けなくなる場合に備えて、所得補償保険や就業不能保険を検討しているものの、2つの違いがよくわからない方もいるのではないでしょうか。
療養中に給付金を受け取れる2つの保険の違いを知ると、今後の保険選びにも役立つでしょう。
本記事では、所得補償保険と就業不能保険の違いを、支払要件や選び方のポイントも含めてご紹介します。


所得補償保険とは
所得補償保険とは、損害保険会社が提供している、病気やけがで仕事ができなくなった際の収入の減少に備えられる保険です。
契約する時点での月給の50%~70%程度を給付金に設定でき、毎月その金額で受け取ることができます。
後で詳しく触れますが、保険商品によっては、加入後でも保障を受けられない免責期間や受け取り期間が比較的短いものがあるのが特徴です。
このため、病気やけがで働けなくなっても、比較的すぐにお金を受け取れる場合もあります。
なお、所得補償保険は公的保障とも併用可能です。
特に会社員や公務員であれば、健康保険で支給される傷病手当金とともに受け取れるため、療養期間中の収入の心配もより軽減できるでしょう。
加えて、公的保障が薄い個人事業主やフリーランスにとっても、事前に半年から1年分の預貯金を準備しておけば、所得補償保険とともに活用することで働けない期間の生活や療養も安心しやすいです。
所得補償保険のメリットとデメリット
まず、所得補償保険には以下のメリットがあります。
- 病気やけがで働けなくなった場合に備えられる
- 免責期間が短いもので7日程度
- 一般的な健康保険や労働災害保険で対象外とされる病気・けがにも対応
所得補償保険は病気やけがで働けなくなった際、給付金がもらえるため、働けない間に収入が減る分を補てんできます。
また、保険商品によっては免責期間が7日程度と短いのも強みです。
免責期間が60日や180日の保険商品と異なり、比較的すぐに給付金を受け取れる点で安心です。
なお、病気やけがの程度が深刻で仕事自体ができない方向けに、長期間補償される保険商品もあります。
ほかにも、一般的な健康保険や労働災害保険では適用対象外とされる病気やけがに対応しているケースもあります。
仕事とは直接関係のない趣味の時間にけがをして働けなくなったときも、補償対象になることがあるため、その点でも心配ありません。
一方、所得補償保険のデメリットは次のとおりです。
- 精神疾患や妊娠・出産だと補償対象外に
- 受け取り期間が収入保障保険や就業不能保険よりも短い
所得補償保険では、精神疾患や妊娠・出産では基本的に補償の対象外になります。
特に精神疾患は発症や回復の判断が難しいため、補償は受けられないことが多いです。
また、給付金を受け取れる期間が、長くても2年から5年程度と短い保険商品もあります。
加えて、受け取る期間を延長したい場合は契約更新の手続きが必要です。
所得補償保険と就業不能保険の違いは?
就業不能保険は所得補償保険と同じく、病気やけがで働けなくなった場合の収入の減少に備えられます。
ただ、所得補償保険と就業不能保険は以下の点で違いがあるため、注意が必要です。
- 提供する保険会社
- 保険期間
まず、所得補償保険は損害保険会社が提供しているのに対し、就業不能保険は生命保険会社が提供するのが一般的です。
このため、保険の種類によって探す保険会社を区別する必要があります。
また、保険期間は所得補償保険が短いのに対し、就業不能保険は長めに設定が可能です。
就業不能保険は「10年間」や「60歳まで」などと長い期間を決められるのが特徴で、長くても2年から5年が上限の所得補償保険と異なります。
このため、就業不能保険は長期間の療養が必要な方におすすめです。
就業不能保険の特徴についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:就業不能保険とは?加入率や条件の厳しさ・審査に落ちた場合の対処法も徹底解説!
収入保障保険との違いは?
収入を補える保険には、ほかにも収入保障保険もあります。
収入保障保険は、所得補償保険や就業不能保険と異なり、被保険者が亡くなったり高度機能障害になったりした際、残されるご家族が生活できるようにする保険です。
このため、保険金も働いている方本人ではなく、そのご家族が受け取ります。
加えて、被保険者が亡くなった後に残されるご家族が受け取った際、相続税の対象になる点も特徴です。
収入保障保険と就業不能保険の違いについては、以下の記事でも触れていますので、こちらもご参照ください。
関連記事:収入保障保険と就業不能保険の違いは?特徴と条件やメリット・デメリットも合わせて比較!
所得補償保険や就業不能保険における「就業不能」とは

所得補償保険や就業不能保険で給付金を受け取るには、保険会社の定める「就業不能」の状態に当てはまることが欠かせません。
しかし、給付の対象となる「就業不能」の状態は保険会社によって異なるため、どんな状態であれば受け取れるのかを知りたいときに、もどかしいのではないのでしょうか。
実は、「就業不能」の状態のなかには、保険会社で共通しているものもあります。
それを知っていれば、所得補償保険や就業不能保険を探す際の参考になるでしょう。
所得補償保険や就業不能保険の支払要件は?
所得補償保険や就業不能保険における給付金の支払要件は、保険会社によってさまざまです。
ただ、一般的とされる支払要件もいくつかあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
具体的には、以下のとおりです。
- 保険期間中に病気やけがで働けなくなったこと
- 医師の指示で入院治療や自宅療養が必要であること
- 保険証券に書かれている業務に従事できないこと
つまり、保険に加入している間に病気やけがに見舞われ、それが原因で働けなくなった場合に限り給付金が支払われます。
同時に病気やけがが理由で、保険証券に書かれている業務に携われないことも条件です。
また就業不能保険の場合は、障害等級1級や2級に当てはまる方も対象です。
加えて、保険商品によっては精神疾患でも支払われる場合もあります。
自宅療養の場合も給付される?
所得補償保険や就業不能保険では、自宅療養でも医師の指示に従ったものであれば、基本的に給付金が支払われる仕組みです。
ただ、同じく自宅療養が必要なものでも、うつ病などの精神疾患については、保険会社によって対象外とされる場合があります。
実際にうつ病などで対象となるかどうかは、各保険商品の注意書きなどをチェックしてください。
うつ病などの精神疾患にかかって自宅療養が必要な際、就業不能保険で保障を受けられるかどうかは、以下の記事も参考になります。
関連記事:就業不能保険はうつ病で自宅療養する場合も入れる?通院歴の影響や告知義務・加入の注意点も解説
精神疾患でも給付される?
精神疾患については、保険商品によって給付の対象になるかどうかが異なります。
うつ病などの精神疾患は、医師でも発症や回復を判断するのが難しいからです。
このため、保険会社でも精神疾患で給付が必要かどうかを決めかねるところもあります。
一部の保険商品では、精神疾患で働けない方も対象としています。
ただし、特約を付加する形で適用されるケースもあるため、保険料が上がる点にも注意が必要です。
就業不能保険が精神疾患も対象としているかどうかをより深く知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
関連記事:就業不能保険は精神疾患も対象になる?うつ病や適応障害の方も利用できる公的保障制度も紹介
所得補償保険や就業不能保険は必要ないのか
この記事を読んでいる方のなかには、「私には所得補償保険や就業不能保険は必要ないのではないか」と悩む方もいるでしょう。
確かに現時点で健康面で何の問題もない方は、所得補償保険などは不要に感じられるかと思います。
しかし、病気やけがに見舞われて一時的に働けなくなるような状態がいつ訪れるかは予測できません。
働けなくなるような病気やけがに備えて対策する意味でも、所得補償保険や就業不能保険を検討することは大切です。
2つの保険が必要かどうかを、働き方別に検討してみましょう。
自営業者や個人事業主の場合
まず、自営業者や個人事業主・フリーランスの場合は、所得補償保険や就業不能保険の重要性が高いです。
自営業者や個人事業主は、会社員や公務員に比べて働けなくなった際の公的保障が充実していません。
自営業者や個人事業主は、基本的に自治体が提供する国民健康保険に加入しますが、国民健康保険には傷病手当金の保障がないためです。
加えて、自営業者や個人事業主は稼働状況が収入に直結するため、預貯金などがないと無収入になる恐れも十分にありえます。
このため、働けなくなったときに収入を補う手段はご自身で用意する必要があります。
その意味では、所得補償保険や就業不能保険を準備しておくと安心です。
会社員や公務員の場合
一方、会社員や公務員でも所得補償保険や就業不能保険が必要なケースがあります。
会社員や公務員は所属する企業や役所の健康保険に加入していて、病気やけがで働けないときも傷病手当金を受け取れます。
傷病手当金は月給の3分の2程度が受け取れるものの、休業中に必要な生活費や治療費によってはそれだけでは足りないこともあるでしょう。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
傷病手当金だけでは不十分な場合は、所得補償保険や就業不能保険も準備しておく必要があります。
もし、ご自身で所得補償保険や就業不能保険が必要か判断が難しいときは、「ほけんプラネット」にご相談ください。
「ほけんプラネット」では、保険を含むお金に精通したプロがお話を伺いながら、適切な対処法を提案させていただきます。


所得補償保険や就業不能保険を選ぶ4つのポイント
今後、ご自身などが働けなくなった場合に備えて、本格的に所得補償保険や就業不能保険を検討している方もいるかと思います。
ただ、所得補償保険や就業不能保険は保険商品が多いため、何を基準に選べば良いかがわからないのではないでしょうか。
所得補償保険や就業不能保険を選ぶ際、以下の4つのポイントを知っていると、かなり選びやすくなります。
- 保険期間
- 受け取り時期
- 給付金額
- 給付条件
それぞれについて、ひとつずつ見ていきましょう。
保険期間
保険期間とは、加入している保険で補償・保障を受けられる期間のことです。
所得補償保険や就業不能保険を選ぶ際も、この保険期間の長さがひとつのポイントといえます。
加えて、補償・保障を受けられない免責期間も保険期間の長さに応じて左右されるため、セットで考えると良いでしょう。
所得補償保険の「短期補償タイプ」であれば、補償期間は1年や2年と短いものの、免責期間は7日程度で済みます。
特に自営業者や個人事業主のように、収入が不安定になりやすく、公的保障も会社員に比べて薄い方にとっては安心です。
一方、ずっと働き続けるなかで長期間働けなくなるリスクに備えたい方は、所得補償保険の「長期補償タイプ」や就業不能保険の検討をおすすめします。
免責期間は60日や180日と長めですが、10年単位や決まった年齢まで補償・保障を受けられます。
受け取り時期
続いて、受け取り時期も選ぶ際のポイントです。
所得補償保険や就業不能保険は、給付金を受け取る前に保険会社が決めた免責期間が設けられています。
このため、免責期間も考慮することで、加入予定の保険の給付金を受け取れる時期について、ある程度予想を立てられます。
所得補償保険でも「短期補償タイプ」であれば、免責期間は7日程度であるため、比較的すぐに給付金を受給できる点で安心です。
一方、給付金の受け取り時期が少し後にずれる代わりに長期間受け取りたい場合は、「短期補償タイプ」以外の保険商品や就業不能保険を選ぶのが良いでしょう。
給付金額
さらに、給付金額を軸に保険商品を選ぶのも大切です。
所得補償保険では前年の年間所得の50%~70%程度を給付金に設定できるのに対し、就業不能保険では月収に近い金額で決められます。
ただし、給付金額を決める際は、保険料とのバランスを取ることも重要です。
給付金額と保険料は比例する関係にあり、給付金額が高いほど保険料も上がる仕組みです。
このため、家計に負担をかけない範囲で保険料を支払える給付金額を考えたうえで、それで設定できる保険商品を選ぶことをおすすめします。
給付条件
給付金額とともに給付条件も、所得補償保険や就業不能保険の保険商品選びで欠かせないポイントです。
どちらの保険も、基本的に病気やけがが原因で働けない状態であれば給付されます。
ただ先程も見たように、何をもって「就業不能」の状態とみなすかは、保険会社によって細かく異なっています。
例えば、精神疾患が原因で働けない点についても多くの場合は対象外とされているものの、保険会社や保険商品によっては給付が可能としているほどです。
実際の給付条件は保険会社によって異なってくるため、事前に保険商品についてしっかり下調べしておくことが大切です。
所得補償保険がおすすめの人は?

所得補償保険がおすすめな人の特徴は、次のとおりです。
- 公的保障の薄い自営業者・個人事業主の方
- 傷病手当金だけでは不安な会社員や公務員
特に自営業者や個人事業主の方の場合、病気やけがで働けなくなると、その時点で収入が途絶えがちです。
公的保障の面でも、会社員のように傷病手当金を受け取れる対象ではありません。
働けないうえに預貯金もないときにこそ、所得補償保険を準備しておくと「短期補償タイプ」であれば、短めの免責期間を経て給付金を受け取れます。
また、傷病手当金だけでは不安な会社員や公務員にとっても、所得補償保険はおすすめです。
会社員や公務員は病気やけがで働けなくなった際に傷病手当金を受け取れますが、受け取れる金額は月収の3分の2である分、家庭の状況次第では足りないこともあります。
そこで、所得補償保険の「長期補償タイプ」を準備しておくと、長期間の療養が必要なケースでも安心です。
就業不能保険がおすすめの人は?
続いて、就業不能保険は以下の点に当てはまる方におすすめできます。
- 自営業者や個人事業主で長期療養に備えたい方
- 長期療養に備えるのに公的保障だけでは不安な会社員や公務員
就業不能保険も、自営業者や個人事業主の方はぜひ検討したい保険です。
特に、病気やけがで働けない期間が長期に及ぶことは、自営業者や個人事業主の方は長い間無収入になることにも直結しかねません。
所得補償保険にも「長期補償タイプ」はありますが、より月収に近い金額を受け取りたいのなら就業不能保険の方がおすすめです。
また、会社員や公務員で健康保険の傷病手当金だけでは不安な方にも、就業不能保険が向いています。
傷病手当金は月収の3分の2を受け取れますが、治療費や住宅ローンの支払いまで考えた場合はそれだけでは不足する可能性もあります。
不足分を補う対策を用意するうえで、就業不能保険は使える手段です。
加えて、傷病手当金は通算で1年6ヵ月に渡って受給できるのが特徴ですが、療養期間が1年6ヵ月を超えそうな場合は就業不能保険が役に立ちます。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
所得補償保険か就業不能保険か迷ったら「ほけんプラネット」へ

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まとめ
所得補償保険と就業不能保険は、両方とも病気やけがで働けなくなった場合に備えられる保険です。
ただ、所得補償保険と就業不能保険の違いとして、提供している保険会社や保険期間が挙げられます。
特に、早めに給付金を受け取りたい方は、免責保険の短い「短期補償タイプ」の所得補償保険がおすすめです。
もし、所得補償保険か就業不能保険のどちらにするかをなかなか決められないときは、ぜひ「ほけんプラネット」にご相談ください。