住宅ローン返済中は就業不能保険が必要?メリット・デメリットや加入率もまとめて紹介

住宅ローン返済中は「就業不能保険は必要なのだろうか」と悩む方も多いと思います。
住宅ローンは長期間の返済が必要になるため、働けなくなったときの収入減少に対応する備えが必要です。
加えて、利用できる公的保障の内容を理解することで、生活費等がどれくらい足りないのかが明らかになり、就業不能保険の必要性も見極められます。
本記事では、住宅ローン返済中は就業不能保険が必要かどうかについてや、メリット・デメリットなどを具体的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


住宅ローン返済中は就業不能保険が必要か
住宅ローン返済中は、就業不能保険が必要かどうか迷う方もいるでしょう。
結論からいいますと、住宅ローン返済中は就業不能保険の必要性が高いといえます。
一般的な住宅ローンの返済期間は30年〜35年といわれており、この期間は毎月返済することが必要になります。
30年もの長い期間であれば、ご自身やご家庭の状況も大きく変化している可能性が高く、収入の減少に対するリスク管理は欠かせません。
また、一般的に住宅ローンを組む際は「団体信用生命保険」に加入しますが、これは住宅ローンに特化した「死亡保険」であり、働けない状態は含まれませんのでご注意ください。
団体信用生命保険だけでは不十分なのか
団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が「死亡または高度障害状態」になった場合に、保険会社から支払われる保険金によって住宅ローンの残債を返済する保険です。
つまり、ケガや病気で働けない状態になっても、これまでどおりの返済を続ける義務があります。
返済期間が長い住宅ローンでは、団体信用生命保険だけでは不十分といえます。
死亡や高度障害に備えるのと同じように、就業不能保険で働けなくなるリスクに備えることも必要なのではないでしょうか。
働けなくなった場合に困ることとは
働けなくなった場合に最も困ることは、収入が途切れてしまうことです。
ケガや病気で働けない状態であっても、住宅ローンの返済や食費などの生活費は変わらず必要になります。
加えて、ケガや病気の療養にかかる医療費の負担も発生します。
ある程度の貯蓄があり収入減少に対応できる場合でも、貯蓄を削る日々が続くと不安やストレスが溜まるものです。
就業不能保険に加入することで、住宅ローン返済中の「もしも」に備えることができるため、大きな安心感を得られるでしょう。
働けなくなった場合の公的保障は?
住宅ローン返済中に「就業不能保険が必要かどうか」を考えるならば、まずは働けなくなった場合の「公的保障」について知ることが大切です。
いざ働けなくなったときに、公的保障で「どれくらい保障されるのか」を知ることで、不足する生活費等が明らかになります。
就業不能保険への加入をすることになった際にも、必要以上の保障をつける心配もなく、結果的に保険料も最小限に抑えられます。
長期間働けなくなったときに利用できる公的保障は、以下のとおりです。
- 傷病手当金
- 障害年金
- 有給消化
それぞれ詳しく説明します。
傷病手当金
就業不能保険が必要かどうかを検討する場合、まずは「傷病手当金」の給付内容を確認します。
傷病手当金は、会社員や公務員が加入する健康保険から給付される制度です。
被保険者がケガや病気で会社を休み、会社から給与の支払いを受けていない場合に支給されます。
支給額は「標準報酬月額」の3分2程度で、最長1年6ヵ月まで受け取れます。
傷病手当金の給付を受けるには、次の4つの項目をすべて満たすことが条件です。
- 業務に関わりのないケガや病気である
- 仕事ができない状態である
- 連続した3日間を含めて「4日以上」休業している
- 休業中は給与の支払いを受けていない
なお、国民健康保険に加入している自営業やフリーランスの方には「傷病手当金」の支給がありませんので、その点には注意が必要です。
障害年金
次に、「障害年金」についても知っておく必要があります。
「年金」と聞くと老後資金を想像する方が多いですが、障害年金は現役世代でも受給できる制度です。
障害年金は、ケガや病気が原因で仕事や日常生活が制限され、「一定の障害状態」と認められた場合に受給できます。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、受給対象は次のとおりです。
障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
---|---|---|
会社員・公務員 | 〇 | 〇 |
自営業・フリーランス | 〇 | × |
なお、初診日から1年6ヵ月を経過した日が「障害認定日」となり、それぞれの障害年金の請求が可能になります。
実際に障害年金を受給するまでにはかなりの時間を要するため、注意が必要です。
参考:障害年金|日本年金機構
有給休暇の消化
会社員や公務員が働けなくなった場合、まずは有給休暇を消化します。
有給休暇で給与の減少を防ぎ、その後に「傷病手当金」や「障害年金」などの公的保障制度を利用しましょう。
なお、自営業やフリーランスの場合は、有給休暇や傷病手当金といった公的保障の利用ができませんのでご注意ください。
家計の中心を支える旦那様の働けないリスクに備える場合は、「会社員・公務員」「自営業・フリーランス」など、働き方によって保障内容が大きく変わります。
旦那様が働けなくなったときの保険について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:旦那が働けなくなったらどんな保険が役立つ?国からの給付金や補助金・できる備えも解説
就業不能保険の加入率

生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」のデータを見ると、就業不能保険の加入率が年々増加していることがわかりました。
2018年の世帯加入率が「12%」だったのに対し、3年後の2021年には「18.4%」まで増加しています。
このことから、ケガや病気で働けなくなるリスクに備えて、就業不能保険を選ぶ人が増えていることがわかります。
また、就業不能保険の加入年齢を見てみると、働き盛りである「30代」が最も多く、50代以降は徐々に減少していました。
30代でマイホームの購入や出産などを経験することで、収入の安定性を重視する家庭も多いことがうかがえます。
就業不能保険はいつまで支払うのか
一般的な就業不能保険の満期は、55歳・60歳・65歳・70歳ですが、いつまで支払うかはご自身の状況によって変わります。
人生の中で特に大きな出費といわれる「マイホーム」や「子どもの教育費」「老後資金」を基準に支払い期間を決める方も多いです。
「住宅ローンの返済が終わるまで」「子どもが独立するまで」や、「老後資金を貯めるために、退職をするまで」といったように、ご自身のライフスタイルに合わせて設定するとよいでしょう。
住宅ローン返済中に就業不能保険に加入するメリット
住宅ローン返済中に就業不能保険に加入するメリットは、次のとおりです。
- 働けなくなったときの収入減少に備えられる
- 民間の医療保険でカバーできない部分を補える
住宅ローン返済中に突然働けない状態になってしまっても、就業不能保険で収入減少をカバーすることでこれまでどおりの生活を送ることができます。
また、長期間の入院や在宅療養にかかる費用などは、民間の医療保険ではカバーできない可能性があります。
就業不能保険に加入することで、医療保険ではカバーできない部分を補える安心が得られ、治療に専念できるでしょう。
働けない期間も安定した収入があることで、経済的な不安が解消される点が就業不能保険の最大のメリットといえます。
住宅ローン返済中に就業不能保険に加入するデメリット
次に、住宅ローン返済中に就業不能保険に加入するデメリットを解説します。
- 免責期間が長めに設定されている
- うつ病などの精神疾患は給付制限の可能性がある
一般的な就業不能保険の免責期間は「30日〜180日」ですが、短いものだと「14日」の保険商品もあります。
就業不能保険は免責期間を経てから給付が受けられるようになっているため、免責期間中はご自身で収入減少に対応する必要があります。
なお、免責期間の短い商品を選ぶことで給付を早めることができますが、その分保険料が高くなる点にはご注意ください。
また、就業不能保険では、うつ病などの精神疾患は保障の対象外とする商品も多く、支払条件も厳しい傾向にあります。
とはいっても、住宅ローン返済中に就業不能保険に加入することで「安定した収入が見込める」ため、メリットの方が大きいといえます。


就業不能の原因ランキングは?
「ケガや病気で働けなくなった経験がある人」を対象に、チューリッヒ生命が実態調査をおこなったデータがあります。
このデータをもとに、「就業不能の原因」と「就業不能になった年代」をそれぞれランキング表にまとめました。
就業不能の原因 | 就業不能になった年代 | |
---|---|---|
1位 | うつ病や統合失調症など精神の疾患:22.6% | 20代(38.4%) |
2位 | 交通事故以外の事故(転落など)によるケガ:18% | 30代(22.8%) |
3位 | 交通事故によるケガ:15.3% | 40代(17.1%) |
4位 | 新生物(がん):6.9% | 50代(11.9%) |
5位 | 急性心筋梗塞など脳血管疾患以外の循環器疾患:4.8% | 20代未満(7.4%) |
6位 | 脳梗塞や高次脳機能障害などの脳血管疾患 2.8% | 60代(2.5%) |
就業不能の原因として最も多かったのは「うつ病など精神の疾患」でした。
精神疾患で休業した人の約半数が復職するまでに半年以上かかっていることから、精神疾患で休業した場合は長期化しやすいことがわかります。
また、就業不能になった年代では「20代」が38%と最も多く、次いで「30代」が23%、「40代」が17%との結果でした。
現役世代の中でも、特に20代・30代の若い世代の方のほうが、働けなくなるリスクが高いようです。
参考:病気やケガで10日以上働けなくなった人への実態調査 | チューリッヒ生命
どんなときに就業不能保険の対象になるのか
就業不能保険の加入を検討する際に、「就業不能な状態」とは具体的にどんな状態を指すのだろうと、疑問に思う方もいると思います。
「就業不能な状態」の具体的な例は、保険会社によって異なりますが、おおむね次の条件に当てはまるときは、就業不能保険の対象とみなされます。
- 入院している状態
- 在宅療養している状態
- 障害等級1級もしくは2級に認定された状態
- 特定障害状態
上記の中でも、特に注意が必要なのは「在宅療養」の状態です。
医師の指示で自宅療養しただけでは給付が受けられない場合が多く、通院が困難であり定期的な訪問診療がおこなわれているかどうか、などを基準とする保険会社もあります。
就業不能な状態の具体例について、もっと深く知りたい方は下記の記事をご覧ください。
関連記事:就業不能状態の例は?働けなくなる確率や原因・支払いまでの待機期間についても解説
就業不能保険の条件は厳しい?

就業不能保険は働けないリスクに備える保険として注目されていますが、一部では「支払条件が厳しいのではないか」という声もあります。
就業不能保険の支払条件が厳しいといわれる理由は、次の2つです。
- 「就業不能な状態」に細かい規定がある
- 免責期間(待期期間)があり、すぐに給付が受けられない
上述では、一般的な「就業不能な状態」について解説しましたが、保険会社によっては細かい規定が設けられている場合もあります。
特に、精神疾患を原因とする就業不能な状態については、症状の判断が難しいなどの理由から、支払対象から外しているケースも少なくありません。
また、保険会社に「就業不能な状態」と認められた場合でも「免責期間(待期期間)」が設けられていることによって、すぐに給付を受けることができません。
一般的な免責期間は30日〜180日であり、この期間を経ても症状が回復していない場合に限り、給付が受けられる仕組みです。
就業不能保険に加入する際は、「どんな状態のときに給付が受けられるのか」を把握し、免責期間を越えるまでの期間の生活費の貯蓄が必要になります。
就業不能保険はうつ病などの備えにもおすすめなのか
上述のとおり、うつ病などの精神疾患は「完治の判断が難しい」「再発の可能性がある」などの理由により、就業不能保険の対象から外している商品も多いです。
しかし、うつ病などで働けなくなる人は年々増加しているため、それに合わせて精神疾患を対象とした就業不能保険も増えています。
うつ病などの精神疾患を対象とした就業不能保険を選ぶことで、「もしも」のときの大きなリスクに備えられるのでおすすめです。
就業不能保険は精神疾患も対象になるかどうかについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:就業不能保険は精神疾患も対象になる?うつ病や適応障害の方も利用できる公的保障制度も紹介
会社員や公務員に就業不能保険は必要ない?
会社員や公務員の場合、ケガや病気で働けなくなっても「傷病手当金」の支給が受けられれば、すぐに収入が途絶えることはありません。
そのため、「就業不能保険は必要ないのではないか」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、「傷病手当金」の支給額は給与よりも少なく、これまで通りの生活を送ることで家計を圧迫する可能性が出てきます。
十分な貯蓄があり、「収入減少にも対応できる」という場合を除いては、会社員や公務員であっても就業不能保険の必要性は高いといえます。
就業不能保険が会社員や公務員に必要かどうかについて深く知りたい方は、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。
関連記事:就業不能保険は会社員や公務員はいらない?必要性が高い人や加入条件・告知内容も紹介
就業不能保険に入れない人とは
いざ就業不能保険に申し込んだら、保険会社の審査に落ちて「就業不能保険に入れなかった」という方もいます。
就業不能保険の審査に落ちる原因として、次の2つが挙げられます。
- 職業や年収などの条件を満たしていない
- 健康状態に問題がある
保険会社の定める加入条件を満たしていない状態とは、具体的に「職業」や「年収」などです。
職業の場合、病気やケガをしやすい職業の場合は加入制限がかかることがあります。
また、健康状態にも厳しいチェックが入るため注意が必要です。
過去の病気や健康状態についての告知が義務付けられていますので、告知の内容によっては加入できない可能性もあります。
就業不能保険の審査に落ちた場合の対処法については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:就業不能保険の審査に落ちた場合の対処法は?加入の条件や必要な告知内容も詳しく解説
就業不能保険が必要か迷ったら「ほけんプラネット」へ

住宅ローン返済中に「就業不能保険は必要なのだろうか」と迷う方は多くいます。
マイホームの購入は人生の大きなイベントであり、大きな出費でもあります。
病気やケガなどで突然働けなくなり住宅ローンの返済が滞ると、最悪の場合、せっかく手に入れたマイホームを手放すことになります。
このような状況に陥らないためにも、リスク管理は欠かせません。
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まとめ
今回は、住宅ローン返済中は就業不能保険が必要かどうかについて解説しました。
住宅ローンを組む際に「団体信用生命保険」に加入することで、契約者の死亡や高度障害に備えることができます。
しかし、ケガや病気で働けなくなるリスクはカバーできないため、住宅ローン返済中は就業不能保険が必要といえます。
また、就業不能保険に加入する際は、公的保障を把握することも大切です。
公的保障の内容は「会社員または公務員」「自営業やフリーランス」によって異なるため、注意が必要です。
就業不能保険でお悩みの方は、ぜひ「ほけんプラネット」にご相談ください。